歌舞伎町ビル火災から15年…遺族や関係者が口にする「危機感」とは

【衝撃事件の核心】

 44人が死亡した歌舞伎町のビル火災から15年。最愛の娘を亡くした母親、助けられなかった命を悔やむ消防士。火災に関わったさまざまな人々がやり切れない思いを抱えて過ごしてきた。火災をきっかけに消防法の改正など前進したこともあるが、いまだ大規模な火災があるたび、不十分な防災体制が問題となる。遺族は「死を無駄にしないで、教訓として生かして」と訴える。

■「夢は女優」…火災で消えた夢

 「いつまで乗り続けるんだろうねぇ」

 栃木県足利市の主婦、中村スイ子さん(68)には、古くなっても乗り続けている赤い車がある。塗装が色あせれば塗り直し、何度も部品を交換して走り続けている。どうしても手放せないのは、歌舞伎町の火災で亡くなった長女、沙由理さん=当時(23)=の愛車だったからだ。

 女優を目指して、モデルの仕事やオーディションで足利市の自宅からたびたび上京していた沙由理さん。合間に始めた現場ビル4階の飲食店でのアルバイト中に、火災に巻き込まれた。

 駆け付けた警察庁舎で対面した遺体は、ほとんど傷がなく眠っているようだった。「頭が真っ白になった。何も見えなくなった」。現実感がなかったが、荼毘(だび)に付すときは立ち上がれないほど泣いた。

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