九州豪雨 「熊本地震の恩返し」被災者や団体、ボランティア続々

 九州北部を襲った豪雨災害から7日目の11日、被災地には、各地からボランティアが続々と駆け付けた。その中には、昨年4月の熊本地震の被災者や支援団体の姿もある。「恩返しがしたい」「息の長い取り組みが必要」。災害の大きな爪痕が残る福岡県朝倉市で、土砂の撤去などの作業に懸命に取り組んでいる。(井上浩平、北野裕子)

 「熊本地震のとき、たくさんの人が応援に来てくれた。その恩返しをしようと思った」。濁流にのまれ大半の住宅や店舗が浸水した朝倉市比良松(ひらまつ)地区に11日、熊本地震の被災者で熊本県西原村の職員、坂田純さん(20)が駆け付けた。

 熊本地震では坂田さんの家族らに被害はなかったが自宅が倒壊。周囲には命を落とした人も多かった。被災後、ボランティアが住民と一緒にがれきの撤去などを手伝う姿に胸を打たれ、「いつかは自分も他の被災地の力になりたい」と思っていたという。

 福岡、大分両県を襲った豪雨災害の深刻な被害状況を知り、職場に特別休暇を申請。11日早朝、同僚2人と朝倉市入りした。

 市内のボランティアセンターで受け付けをしていると、坂田さんらがかぶっている「西原村」の名前の入った帽子を見かけた他のボランティア希望者から「去年、村の支援に行ったよ」と相次いで声をかけられた。「助け合いの大切さを改めて感じた」

 大量の泥に覆われた比良松地区に向かい、住民らと作業服姿でシャベルなどを使って撤去作業を開始。手伝ってもらった住民の男性(68)は「泥を出すのは力仕事なので助かる」と笑顔を見せた。

 熊本地震の支援を行ってきたNPO法人「日本九援隊」(福岡県大野城市)は、豪雨災害が発生して2日後の7日に朝倉市に入り、被害状況を確認した。

 「熊本地震と同じか、それ以上の大災害。息の長い取り組みが必要になる」。法人代表の肥後孝さん(48)は力を込める。

 県職員の肥後さんは、平成23年に県から東日本大震災の被災地に派遣され、不明者の捜索やがれきの撤去などに携わった。ボランティアの底力を間近で目にし、「地元の福岡で災害が起きたとき支援できるようにしたい」と知人らと3年後に団体を発足させた。

 昨年の熊本地震では被災直後、福岡・博多から毎週末、ボランティアを乗せたバスを運行。熊本県の益城町(ましきまち)や南阿蘇村などに、これまでに2千人以上を派遣し、人手が足りない農家の野菜の植え付けや収穫を手伝った。

 今回の豪雨災害では、最初の週末となった9日、バスの目的地を朝倉市に変更。参加者は九州だけでなく、7年に阪神大震災が起きた神戸や26年に土砂崩れが発生した広島などからも約50人が集まった。

 「被災者が子供を預ける場所がないと復旧作業は進まない」。これまでの経験から、床上浸水した大福幼稚園(朝倉市大庭)の泥をかき出し、三輪車などの遊具を運び出した。

 肥後さんは「これからの時期は食料や生活用品などの物資よりも人手の支援が大事になる。1人でも多くのボランティアに集まってほしい」と訴える。

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