九州北部豪雨 娘同然の愛犬と再会 ヘリで救助の高齢夫婦

 また会えるとは思わなかった。集落が孤立するなど大きな被害が出た福岡県朝倉市杷木松(ま)末(すえ)で11日、高齢者夫婦と愛犬が5日ぶりの再会を果たした。夫婦はヘリコプターで救助された際、飼い犬のチャピー(メス)を連れて行くことを断念。天候が落ち着き、ようやく捜しに来ることができた。

 稲益勝則さん(78)と妻の秋江さん(72)は2人暮らし。11年ほど前にチャピーを飼い始め、「自分たちの娘も同然に育てた」。勝則さんと秋江さんのそばで眠るのが好きで、普段から片時も離れようとしないという。

 5日の夜もそうだった。地区にはすさまじい勢いで雨が降り注ぎ、家々が土砂や濁流にのまれる中、損壊を免れた自宅で夫婦とチャピーは身を寄せ合って恐怖の一夜を耐えた。

 翌6日に救助隊がヘリで到着したが、チャピーを連れて行くことはできなかった。救助隊員に「犬と命とどちらが大事ですか」と説得され、夫婦は「連れて行けないなら避難しない」と訴えたが、結局、ヘリに乗ることを決断した。

 10日になり、ようやく自宅に向かうことができた。勝則さんが増水した川を渡っていると、付近の警察官から声をかけられ、様子を見に行ってもらった。

 水たまりの水を飲んでいたチャピーを警察官が保護。「チャピーおいで」。秋江さんが声をかけると、勢いよく駆け寄った。勝則さんは「元気でよかった。やっと安心して眠れる」と安堵の表情を見せていた。(山田太一)

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