一流サラリーマンを投資に駆り立てたものは… 訴訟発展「かぼちゃの馬車」
【衝撃事件の核心】
投資家向けに女性専用シェアハウスを販売・運営してきた不動産会社「スマートデイズ」をめぐる賃借料の支払い停止トラブルが訴訟問題に発展した。3月27日、物件のオーナー13人が同社などに計2億円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こしたのだ。同社から賃借料が支払われず、巨額のローン返済に苦しむオーナーは約700人に及び、被害総額は1千億円に上る恐れもあるという。オーナーの多くは大手企業に勤めるサラリーマン。安定した収入を得ていたはずの彼らを、投資に駆り立てたものとは何か-。取材に応じた同社元役員や被害者の話からは、現代特有の一つのキーワードが浮かび上がってくる。
破綻前提のスキーム
「このまま拡大を続ければ、いつかは破綻すると分かっていた」
3月下旬、都内の飲食店で、スマートデイズの元役員はこうつぶやいた。
同社は平成26年4月から、「かぼちゃの馬車」のブランド名で投資用の女性専用シェアハウスを販売。物件を購入した場合、同社がオーナーの代わりに入居者から家賃を集め、保証した賃借料をオーナーに毎月支払うという仕組みで、業績を急拡大させた。
しかし、昨年10月、メーンバンクである「スルガ銀行」(静岡県沼津市)の融資がストップしたのを契機に経営状態は急激に悪化。今年1月にオーナーへの支払いができなくなり、事実上破綻した。