集団走行で無謀運転 外国人に人気の公道カート、信号無視や事故増加

 外国人観光客らに人気の公道カートによる事故件数が東京都内で増加傾向にあることが、警視庁への取材で分かった。日本の道路事情に不慣れな上、ゲームさながらに集団走行する中で無謀な運転を行って事故や交通違反につながるケースもある。2020年東京五輪・パラリンピックに向けて訪日外国人が増え、需要増も予想される公道カート。警視庁ではドライバーの安全意識徹底が急務として、業者への指導に力を入れている。(社会部三宅真太郎)

 買い物客や観光客でにぎわう東京・六本木の繁華街で4月末、シンガポール国籍の30代女性が運転する公道カートが歩道に乗り上げ、飲食店前の看板に突っ込んだ。

 この店の男性従業員は「ガシャーン」という大きな衝突音で事故に気づいた。慌てて外を確認すると、運転席で呆然(ぼうぜん)とする女性を心配そうに見守る仲間たちの姿があった。いずれも任天堂の「マリオカート」をはじめ、ゲームやアニメのキャラクターを模したカラフルなコスチュームを着ていた。

 捜査関係者によると、女性は観光目的で来日。仲間と計5台のカートで連なって都道を走行する中で、アクセルとブレーキを踏み間違えて事故を起こしたとみられる。

 公道カートは2、3年前から東京都内を中心に見られるようになった。会員制交流サイト(SNS)などを通して外国人観光客を中心に人気が高まり、都内のカートレンタル店舗の数は、平成28年の4店舗から29年には10店に増えた。関係者によると、10店のカート保有台数は計約300。海外からの観光客向けに、公道カートの乗車を盛り込んだ旅行ツアーも企画されているという。

 ブームの一方、事故が相次いでいる。事故が目立つようになったとして、警視庁が統計を取り始めた29年3-12月の9カ月間に発生したカートによる事故件数は42件。今年1-3月の3カ月間では16件で、1カ月あたりの平均件数は約4・6件から約5・3件へと増加傾向を示している。

 29年の42件のうち、外国人運転者による事故は35件。今年は、16件すべてが外国人運転者による事故だ。警視庁幹部は「国際免許を持っていても日本国内での運転に不慣れな場合が多い。道路標識をはじめとした交通ルールに未熟なまま運転し、事故を起こしている例も多い」と指摘する。

 グループで走行する中ではぐれないようにする心理が働き、事故や違反行為につながる無謀運転のケースも目立つ。

 2月に公道カートで少年をはねて負傷させ、逃走したとして、自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)などの疑いで逮捕された台湾籍で自称パイロットの男は調べに対して、「前のカートが待ってくれなかったから付いていった」などと逃走理由を話したとされる。29年の公道カートによる交通違反の取り締まりは計4件だったが、うち2件は信号無視だった。

 事故が相次ぐ中、国土交通省は4月、道路運送車両法に基づく保安基準を改正。32年4月以降は既存の車両を含めて、レンタル業者や個人所有者にシートベルトの装備を義務化する。車高の低い公道カートはトラックなどから見えにくいため、高い位置にテールランプ(尾灯)を取り付けることも義務づける。

 法令面では安全関連の環境整備は進んできたものの、警視庁幹部は「法律を固めることだけでなく、事故を起こさないために交通ルールを徹底して守って運転してもらうことが最も大切」と強調する。同庁は目立つ外国人の事故抑止に向け、乗車前の段階で、道路交通法など日本の法律、道路標識などの基本的な交通ルールを利用者にしっかり教えるよう業者に指導している。

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