早い処置で守った「日常」 葛西署消防司令補の千葉清三郎さん(57)

【都民の消防官(2)】

 「早い処置、早い搬送、そしていち早く医療機関に引き継ぐこと」が信条だ。14年前の現場で、その大切さを改めてかみしめた。

 平成16年、理髪店店主の60代男性が心臓発作を起こした。男性はうずくまり、苦しそうにしていた。担架に乗せ、救急車に収容したが、男性は心肺停止状態になった。事態は一刻一秒を争う。

 「AED(自動体外式除細動器)の準備を」。部下の隊員に指示を出す。心臓マッサージを施し、AEDで蘇生(そせい)措置を行う。脈が出た、呼吸も戻った。男性は一命を取り留めた。

 1カ月後、男性が夫婦で消防署を訪れ、仕事に戻れたことを報告した。目頭が熱くなった。心肺停止から社会復帰を果たし、元のように日常生活を送るのは難しいとされている。ハサミを使う繊細な作業を再び可能にしたのは素早い処置の結果だった。

 救えなかった命もある。救急隊員として駆け出しだった約25年前、車にひかれた幼児の救命活動に当たった際、幼児は搬送途中で息を引き取った。当時の悔しさが、原動力となっている。

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