地面師逮捕、被害の積水ハウスも問われた企業統治

 東京都内の土地取引で積水ハウスが約55億円をだまし取られた事件。同社は詐欺被害を受けた立場ながら、契約までの意思決定のあり方や、経営陣の対立など企業統治(コーポレート・ガバナンス)のうえで問題点が浮き彫りになった。

 土地の売買契約を交わしたのは平成29年4月24日。6月に法務局に所有権移転の登記を申請したが、書類偽造の指摘で登記が拒否され、詐欺被害が判明した。7月中間決算で55億5千万円の特別損失を計上するとももに、9月に警視庁に刑事告訴していた。

 社外役員らでつくる調査対策委員会がまとめた調査書では、本物の所有者側から「売買契約はしていない」との内容証明が本社に届くなどしたが、担当部署は取引妨害の「怪文書」と判断したことなど危機管理の甘さが露呈した。だが、同社が開示したのは概要で、報告書そのものを公表していなかった。

 今年3月には、重要な投資案件について審議や検証を行う経営会議を設置するなど再発防止策を発表。4月には女性取締役と女性監査役を登用し、経営陣の多様性確保を目指すなどコーポレートガバナンス強化に取り組んでいる。

 一方、事件は経営トップ同士の対立に発展していった。1月24日の取締役会で、当時会長の和田勇取締役相談役が、社長だった阿部俊則会長の解任動議を出したが、逆に和田氏が解任された。同社は双方への解任動議があったことを認めたが、「(事件の)責任問題を理由とする決議は一切ない」と説明している。

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