座間9遺体事件、自問自答続ける父親「娘救えたか…」

 「娘はなぜ、会いに行ってしまったのか」。神奈川県座間市のアパートで男女9人の遺体が見つかった事件で、福島市の高校3年の女子生徒=当時(17)=を亡くした父親(63)はなおも自らに問い掛けている。白石隆浩被告に誘い出された会員制交流サイト(SNS)の危険性は、幼い頃から教えてきたつもりだった。「何を、どう伝えていれば救えただろうか」。1年前に時が止まったまま、答えは見つかっていない。

 「インターネットで知り合った人と付き合ってはいけないよ」。幼い頃から言い聞かせ、家のパソコンにも触らせなかった。それでも、娘は中学に入るとこっそりパソコンを使い始めた。SNSでアニメなど共通の趣味を持つ友達を探すようになった。

 「だまされることもある」。諭したこともあるが、娘にも自分の世界があると考え、いつしか、黙認するようになった。

 昨年11月2日、警察から連絡を受け、無事を祈ったが、願いは届かなかった。「(白石被告が)手の届く範囲にいれば、殺してやりたい」。当初はそう考えていたが、「復讐しても娘は戻らない」という思いが頭をよぎるようにもなった。

 今年6月、自身の高齢の母親が施設に入るのを機に、娘が生まれたときから一緒に過ごした家を引き払った。ただ、娘の形見を捨てることはできなかった。

 好きだったアニメのキャラクターが印刷されたタオルや食器、一緒にテレビを見たソファ…。1人暮らしとなった今も、「娘が生きていた証」に囲まれて過ごす。だが、娘が笑いかけてくれるアルバムに、新しい写真が増えることはない。

 「親にとっては子供がすべて。いなくなったなんて思いたくない」。手のひらに収まるほどの小さな骨つぼを優しくなでて、そうつぶやいた。

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