直接証拠なく「殺人罪」問えるか、裁判員難しい判断 寝屋川公判

 中学生2人の殺人罪で起訴した検察側に対し、傷害致死罪や保護責任者遺棄致死罪にとどまると反論する弁護側。1日に始まった山田浩二被告の公判で、双方の主張の違いが鮮明になった。山田被告が殺害したと示す直接証拠がない中、検察側は状況証拠を積み上げ、犯人は山田被告以外にありえないと立証していく見込みだが、専門家は「殺人罪のハードルは高い」と指摘する。犠牲者が2人の重大事件であり、検察側が死刑を求刑することも想定される。事実認定と量刑判断。裁判員は難しい選択を迫られそうだ。

 捜査では、事件で用いられた凶器は見つからず、目撃証言なども得られなかった。このため検察側は、防犯カメラの映像や山田被告の車から検出した血液反応といった状況証拠を総合的に検討し、山田被告以外の第三者の関与が確認できないなどと結論付け、殺人罪で起訴した。

 近畿大の辻本典央(のりお)教授(刑事訴訟法)は「防犯カメラの映像などによると、被告は亡くなった2人と直前まで一緒にいたようだ」とした上で、「ただ、何らかの形で死亡に関与したのは間違いないだろうが、殺人罪で有罪とするには足りない。故意や殺害する動機を検察側が明らかにする必要がある」と指摘する。

 実際、弁護側は平田奈津美さんについては死亡にはかかわっていたものの殺意を否定し、傷害致死罪にとどまると主張。星野凌斗さんは何らかの体調不良により亡くなった可能性を挙げるなどして刑事責任は保護責任者遺棄致死罪の範囲に限定される、としている。

 一方、2人に対する殺人罪は「死刑求刑も考えられる事案」(辻本教授)。公判期日は11日間と重大事件では比較的短い日程だが、状況証拠の積み重ねを判断する難しさと、“死刑求刑事件”を裁く重圧が、裁判員にのしかかる。

 辻本教授は「社会の注目を集める裁判で、検察側と弁護側が正面から争う緊迫感もあり、裁判員は心身ともに負担になるだろう。検察側、弁護側双方は、対立点を明確にし、一つずつ理解してもらいながら進めるなど、裁判員への配慮が必要だ」と話している。

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