暗闘 ゴーン事件(上)勾留失効直前…ドバイの証言

 特捜部が特別背任事件の捜査着手を前倒しせざるを得なくなった勾留延長の却下は「検察幹部が軒並み冷静さを失うほど衝撃的だった」(検察関係者)。翌日、地裁は却下理由の要旨をメディアに明らかにしたが、ある捜査関係者は「証拠関係を明らかにしており、発表自体が捜査妨害だ」とくさした。

 「さすがに却下はないと思っていた。そこまで『外圧』に弱かったとは…」。多くの検察幹部は地裁の異例の判断の背景に、海外メディアの過熱報道があったとみる。日本の刑事司法制度について「長期勾留」「取り調べに弁護士が立ち会えない」などと批判が向けられてきたからだ。

 勾留理由開示手続きや、その後の勾留取り消し請求と、立て続けになされた裁判所への働きかけは、大鶴を含めた弁護団も裁判所の「特性」を十分意識しているからだろう。

 こうした弁護側の情報戦略に、ある検察幹部は「ゴーンの言っていることは嘘ばかり。マスコミは弁解を垂れ流すだけで利用されているのに気付いていない」といらだちを募らせる。

 一方の大鶴も「検察のマスコミへのリークがひどい。本件の特別背任容疑と関係ないことばかり流す」と漏らし、検察を批判する。

 前代未聞の事件は検察側、日産側、弁護側の思惑に、裁判所も巻き込みながら続いていく。=敬称・呼称略

 ゴーン被告をめぐる一連の事件は11日、特別背任罪で起訴されたことで節目を迎えた。異例ずくめの捜査の舞台裏や日産内部で起きていた「暗闘」を探る。

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