容疑者の権利か 真相解明か 弁護士会「取り調べ立ち会いを」

 ■明確な規定なし

 同部会の幹事を務めた小坂井(こさかい)久弁護士(大阪弁護士会)によると、取り調べへの第三者の立ち会いを禁じる法律はない。同時に立ち会い制度を定めた法もない。このため捜査機関では「警察官や弁護士らは捜査の妨げとならないように注意しなければならない」とする刑事訴訟法の規定などから立ち会いを認めなくてもいいとの解釈が一般化しているという。

 ただ、近弁連の報告によると、容疑者を逮捕しない在宅捜査では、検察や警察の判断で立ち会いが認められたケースもある。

 近弁連はシンポ後、弁護士の立ち会い制度の確立を求める決議を採択。また、日本弁護士連合会は30年4月、立ち会いを刑事訴訟法に明記することを求める意見書を法相へ提出した。立ち会いを行っている英国の視察経験がある清水伸賢(のぶかた)弁護士(大阪弁護士会)は「日本の取り調べは自白を引き出し、反省させるためにあるようなもの。供述に頼るのではなく、客観証拠による捜査へかじを切るべきだ」と話す。

 ■秘密の暴露は

 だが、捜査機関の懸念は根強い。事件捜査の経験が豊富なある警察官は「弁護士という第三者が立ち会うと、取り調べがうわべだけのものになり、真犯人でなければ知るはずがない『秘密の暴露』をする機会が全く得られなくなる可能性もはらむ」と危惧する。

 近畿大の辻本典央(のりお)教授(刑事訴訟法)は「自白が真相解明に資してきたのは事実だが、立ち会いがない状況下で容疑者が自分に不利な供述をしないようにするのは困難。日本でも立ち会いの導入を検討する時期にきているのではないか」としている。

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