児童虐待、摘発10年前の3倍 警察が対応強化も後絶たず

 子供に対する身体的虐待だけでなく、子供の前で親が配偶者に暴力を振るう「面前DV」なども「心理的虐待」に当たるとして通告。厚生労働省によると、全国の児相への通告件数のうち、警察が占める割合は20年度は約14%にとどまっていたが、29年度は半数近くに達している。

 昨年の児童虐待の摘発件数は過去最多の1355件で21年の385件の3倍超。昨年3月に東京都目黒区で両親から虐待を受けた船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5)=が死亡する事件があり、政府は同年7月、児相職員の増員や、児相と警察との間で情報共有を強化するなどの緊急対策をまとめた。

 全件共有は一部

 情報共有の手段の一つが、児相が警察に全ての虐待に関する情報を提供する「全件共有」だ。目黒の事件を契機に導入の動きは進むものの、虐待死ゼロを目指すNPO法人「シンクキッズ」(東京都港区)によると、現時点で導入が確認されているのは大阪府や愛知県、名古屋市などの11府県1政令市にとどまる。

 児相関係者は「警察が介入することで、保護者との関係づくりが困難になるケースもある」と打ち明ける。

 今年1月に小学4年の栗原心愛(みあ)さん(10)が自宅浴室で死亡し、両親が傷害容疑で逮捕された千葉県では、全件共有が行われていなかった。

 シンクキッズの後藤啓二代表理事は「児相が案件を抱え込んで子供を救えない事件が相次いでいる。警察などの関係機関で確実に情報共有し、連携して活動しなければ子供は守れない」と訴えている。

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