奈良市庁舎めぐり市長と知事の対立激化 耐震化と移転建て替えめぐり

 老朽化が進む奈良市役所本庁舎は耐震化すべきか、移転建て替えすべきか-。市庁舎の耐震問題をめぐり、奈良市と奈良県の意見対立が激化している。現地での耐震改修を決めた仲川げん市長に対し、荒井正吾知事は「待った」をかけ平城宮跡付近への移転建て替えを提案。自ら市議会に乗り込み計画の再考を促すなど、異例ともいえる猛アピールを繰り返している。(桑島浩任)

 市役所本庁舎は昭和52年に完成した3棟の耐震性に問題があり、うち2棟は震度6強の地震で倒壊する危険性が高いとされる。市は現庁舎に鉄骨製の外付けフレームを設置する総事業費32億6千万円の耐震改修計画を策定。ほぼ半額を国の交付税でまかなう予定だが、来年度末までの工事完了が条件となっており、一日も早く着工したいのが本音だ。

 ところが、この計画に異議を唱えたのが荒井知事。今年1月に市議会の勉強会の場で、平城宮跡南側の積水化学工業奈良事業所跡地への移転建て替えを提案。今月、県が土地を先行取得した上で市に無償貸与するという“お膳立て”プランを明らかにした。

 荒井知事が移転案を推す背景には、平城宮跡周辺から奈良公園にかけてのにぎわい創出を目指す、県のまちづくり計画がある。市役所南側では来春、外資系高級ホテルやコンベンションセンターが完成予定で、知事は市役所移転後の跡地開発に色気を見せている。

 荒井知事は今月11日、再び市議会の勉強会に出席し、耐震改修では将来の建て替え費用を含めて154億円の財政負担がかかるが、「移転なら61億円で済む」とメリットを強調。新庁舎のイメージ図まで披露し、参加者を驚かせた。知事の“越権”ともいえる言動に、仲川市長は「知事の試算には誤りがある」とした上で、「現実的には50億円損をする」と応酬した。

 18日には荒井知事と仲川市長による公開会談が県庁で予定されている。仲川市長は「2年かけて計画してきた案を白紙には戻せない」としており、両者の溝が埋まるのか注目される。

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