京アニ火災 制作現場で何が 「まるで火の海」響く悲鳴、懸命の救助

 爆発音とともに、建物は一瞬にして炎に包まれた。18日午前、アニメ制作会社「京都アニメーション」(京アニ)の京都市伏見区のスタジオから出火し、50人以上が死傷した事件。京都府警に身柄を確保された男(41)は「ガソリンのような液体をまき、火を付けた」と話したという。スタジオは数時間にわたって燃え続け、現場には血まみれの従業員たちの悲鳴が響いた。子供だけでなく大人にも愛されるアニメの制作現場で何が起きたのか。

◇爆発音、何度も

 「接客中に『パーン』という何かが破裂するような音がして、外に出てみると京アニが火の海になっていた」。近くで美容院を営む男性(34)は戸惑った様子で話した。

 京都府警や京都市消防局によると、爆発があったのは午前10時半ごろ。男がスタジオに入り、ガソリンのような液体をまき火を付けたという。3階建てのスタジオは一瞬にして燃え上がり、近所の保育園の女性園長(53)は「爆発音が何度も聞こえ消火器を持っていったが、もう使える状況ではなかった。煙が建物の倍以上あがっていた」と明かす。近くの住宅展示場で仕事をしていた設計家の男性(39)も「爆発音が聞こえ、外を確認したら建物の1階、2階近くが燃えていた。火はあっという間に燃え広がり、悲鳴も上がっていた」と話した。

◇はしごをかけて救助

 建物内からはやけどで皮膚がめくれたり、血まみれで黒ずんだ顔をしたりした従業員が次々と逃げ出した。衣服に火が付いた状態で逃げ出し、近隣住民に消し止めてもらう人や、建物の外で横たわる人も。いずれも口数は少なく、ショックを受けた様子で救急車を待っていたという。近くの公園では、消防隊員が容体から搬送の優先順位を判断するトリアージを行った。

 窓ガラスを割って避難する従業員や燃えさかる屋内から脱出したのか、外壁や窓枠に貼り付くように助けを待つ人もおり、住民らが2階にはしごをかけて救助。この男性は「血まみれでけがをしていたので、毛布やブルーシート、はしごなどを持っていった。現場はパニック状態だった」と険しい表情を浮かべた。

◇警官10人に囲まれ

 放火したとみられる男は、自身もけがをしながら逃走し、100メートルほど離れた路上で身柄を確保された。赤いTシャツにジーンズ姿で、取り押さえられた現場周辺には血痕が残っていた。目撃した主婦の女性は「血だらけの素足で、10人ぐらいの警官に囲まれて身柄を確保されていた」と話す。この女性は、似た男が2日ほど前に現場近くの道を思いつめた表情で歩く様子を目撃したという。

 男は警察官に身柄を確保され、状況を説明したとみられるが、近隣住民の中には「(男が)『パクリやがって』と怒った口調で言っていた」と話す人もいた。

 突然の惨禍に巻き込まれた従業員を心配する声も多く聞かれ、現場付近で歯科医院を営む男性(50)は「京アニの人も患者で来ることもあったが、穏やかでアニメが大好きな人たち。おすすめのアニメを教えてもらったりしていた。安否が気になる」と不安そうに話した。

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