京アニ火災 「日本の宝が失われた」弔問続々

 「京都アニメーション」スタジオの放火火災から一夜明けた19日、現場には事件を知ったアニメファンらが相次いで足を運んだ。現場では消防や京都府警による現場検証が行われるなど物々しい空気が漂う中、静かに犠牲者の冥福を祈った。

 「写真かと思うくらいきれいな絵が描ける人たちばかり。想像では足りないくらい怖い思いをしたと思う」。近くに住む会社員、橋永紗羅さん(22)は静かに手を合わせた。

 京アニは「涼(すず)宮(みや)ハルヒの憂鬱」「けいおん!」などの人気作品を制作し、国内外問わず多くのファンがいる。

 現場近くの路上には「亡くなった方々が紡ぐはずだった輝かしい未来を思うと胸が痛くてたまりません。心よりお悔やみ申し上げます」と書かれた手紙を添えた花束やアニメグッズも手向けられていた。

 広島県呉市から関西を訪れていた元中学教員の男性(58)はニュースで事件を知って現場に駆けつけ、「事件はアニメに対する冒(ぼう)涜(とく)だ。昨日はショックでなかなか寝つけなかった。海外に日本文化を広める上でも大きな損失になるのではないか」と話し、花を手向けた。

 近くに住む40代の男性は「描写が本当に美しく、心を揺さぶられる作品を作っていた。クリエーターにはもっともっと作りたかったという思いがあるだろう」と話した。

 スタジオで働く若い世代の従業員を思いやる声も聞かれた。現場近くにあるアルバイト先に出勤途中だった辻井幸三さん(71)は「もっと楽しい人生を送れたのではないかと、ただただ残念な気持ちでいっぱい」と涙を浮かべた。

 京都府宇治市の遠藤健次さん(89)は長年、事件があったスタジオの前を散歩しており、「20人くらいの小さな工房のイメージだったが、今や世界を相手にビジネスをするすごい会社になった。若い人も多く、彼らの未来を奪ったのは許せない」と話した。

 一方、京都府宇治市の京アニ本社では従業員や関係者が慌ただしく出入りした。本社前で取材に応じた八田(はった)英明社長は「痛恨の極み。日本の宝が失われた」と険しい表情で話した。

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