京アニ放火 爆燃現象と煙突効果か…らせん階段通じ3階へ一気に炎

 京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション」(本社・京都府宇治市)のスタジオで18日発生し、従業員ら33人が死亡、35人が負傷した放火事件では、被害が拡大した原因として、「爆燃(ばくねん)現象」や「煙突効果」と呼ばれる現象により火の手が一気に回った可能性が指摘されている。

 火災のメカニズムに詳しい東京理科大学大学院の菅原進一名誉教授によると、ガソリンは気化しやすく、室内でまかれると燃焼範囲はすぐに広がる。激しい炎によって窓ガラスなどが熱で破壊され、外の空気が室内に流れ込むことでさらに炎の勢いは増す。

 これが「爆燃現象」で、菅原名誉教授は「爆燃現象が生じていたなら、3階にいても異変に気付いた時点で、すでに火の手がかなり迫っていた可能性がある」と分析する。

 爆燃現象は、平成15年に名古屋市で男が立てこもり3人が死亡、40人以上が負傷したビル爆発事件や、21年に大阪市のパチンコ店で男が放火し5人が死亡し、10人が重軽傷を負った事件でも発生した可能性があるという。

 一方、高温の空気は低温の空気より密度が低いため、煙突の中に外気より高温の空気がある場合、煙突内の空気に浮力が生じて煙や炎が上に向かう。これが「煙突効果」といわれるもので、火災が上に燃え広がっていくのはこのためだ。

 現場のスタジオは1~3階の建物中央南寄りにらせん階段があり、これが煙突の代わりとなって「煙突効果」が生じた可能性がある。各フロアとも仕切られた空間はトイレや会議室など数えるほどで、壁などの遮蔽物が少ないことなども火の手が回るのが早くなった一因とみられる。

 建物にスプリンクラーの設置義務はなく、実際に設置されていなかった。菅原名誉教授は「一刻も早く脱出しなければならない状況で、消火器などを使うことは難しい。被害を抑えるためには、スプリンクラーの設置義務を広げることを検討する必要がある」としている。

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