“聖地”が恩返し 「魅力伝えてもらった」募金箱設置相次ぐ 京アニ放火

 放火事件で従業員ら34人が死亡したアニメ制作会社「京都アニメーション」。生み出した作品の影響力は大きく、舞台となった場所やゆかりのある地は“聖地”と呼ばれ、その場所を訪れるファンらでにぎわう。「魅力を伝えてもらって感謝」「計り知れない恵みをもたらしてくれた」。事件を受け、こうした“聖地”が「京アニ」を支援しようと動き始めている。

 「Free!(フリー)で鳥取県にも計り知れない恵みをもたらし、国内外に夢を与えてくれた京都アニメーションの惨事に、胸の詰まる思いと憤りを感じる。岩美町とともに惜しみなく、応援する」

 県のホームページでコメントしたのは鳥取県の平井伸治知事。同県岩美町は、男子水泳部員の青春を描いた作品「Free!」の舞台として知られ、年間約5万人のファンが訪れる。キャラクターを活用したスタンプラリーや、現地でしか手に入らない関連グッズ販売など作品は同町の観光に不可欠な存在だ。

 放火事件を受け、県や岩美町観光協会は同社を支援するため、県庁のほか、県東部庁舎、県中・西部総合事務所、岩美町観光会館などに募金箱を設置。町観光協会業務課長の福本照美さんは「たくさんのファンが募金していて、京アニ作品の影響力の大きさを改めて感じた」と話す。

 募金箱を設置する動きは各地で広がっている。

 「映画 聲(こえ)の形」の舞台となった岐阜県大垣市も、市総合福祉会館1階ロビーなど2カ所に「激励募金コーナー」を設置した。京アニへのメッセージを書き込むノートも用意しており、「ぜひ、応援のメッセージを」と呼びかけている。

 京都国際マンガミュージアム(京都市中京区)にも募金箱が設けられた。京都市とともに施設を共同運営する京都精華大(同市左京区)が設置。同大はマンガ学部アニメーション学科があり、京アニに進んだ卒業生もいるという。

 集まった募金は京アニの復興とアニメ文化の継承に使うとし、具体的な寄付先は今後公表する。募金した大津市の会社員、斉藤未歩さん(18)は「小学校低学年から京アニのファンで、ずっと応援してきた。京アニの作品があったから今まで頑張ってこられた」と涙を浮かべていた。

 この日は同館でイベントがあり、元京都精華大学長で漫画家の竹宮惠子さんや参加者約200人が黙祷(もくとう)。竹宮さんは「(京アニは)いろいろな人から信頼が寄せられている聖地のような存在」と話した。

 このほか、女子高校生の日常を描いた「けいおん!」の舞台とされ、多くのファンが訪れる滋賀県豊郷町の豊郷小学校旧校舎群では、酬徳(しゅうとく)記念館(旧図書館)1階に献花台を設置。町観光協会の担当者は「アニメを通じてこれまでに多くのファンが来てくれた。感謝の気持ちを伝えられれば」と話した。

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