京アニ事件で安否不明の武本康弘「らき☆すた」監督 父親「優しい子だった」 

 京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション」(京アニ、本社・京都府宇治市)の第1スタジオで起きた放火事件で、京アニ取締役の武本康弘さん(47)も安否が気遣われている。テンポの良い演出やアクションシーンの描写に定評があり、同社を代表する監督の一人。兵庫県赤穂市内の自宅で産経新聞の取材に応じた父親は、「優しい子でした。ただ信じられない。それだけです」と苦しい胸の内を語り、疲れ切った様子をみせた。

 武本さんは同市出身で兵庫県立高校を経て、大阪市内にあるアニメ専門学校を卒業した。

 京アニに入社後は、アニメーション監督として、アニメの制作に携わる。平成19年に放送され、多くのファンらが作品の舞台を訪れる「聖地巡礼」がブームになった「らき☆すた」や映画「涼宮ハルヒの消失」(22年)など人気作の監督を務めた。また、ミステリー要素を持つ学園ドラマ「氷菓」、テーマパークを題材にギャグを詰め込んだ「甘城(あまぎ)ブリリアントパーク」、水泳に懸ける少年たちの青春を描いた「Free!」シリーズの劇場版も手掛けるなど、仕事は幅広い。

 27年、産経新聞の取材に対し、自身が手掛けるアニメについて「僕がキャラクターを作るのではなく、実際に生きている人の生活にカメラを入れさせてもらい、撮影するイメージで作品作りに取り組んでいる」と話し、今後の目標について「キャラクターが輝く瞬間を逃さず、撮り続けたい」と語っていた。

 京アニが29年にイベントに合わせ発刊した書籍の対談記事では、監督として社内外の人と関わることについて「意気投合する人に出会えると、その出会いはすごくうれしくて貴重だなと思います」と仕事のやりがいを語っていた。自身は人付き合いが苦手だとしつつ、監督とは「旗を振る人」だと表現していた。

 アニメ業界に詳しい関係者は「とても仕事熱心で真面目」と評価する。

 一方、武本さんが通った専門学校の関係者は「こんな事態となり、大変ショックを受けている。安否不明が続いており、無事を祈るばかりです」と肩を落とした。SNS(会員制交流サイト)でも、武本さんの安否を気遣うアニメファンから「武本監督…どうか…生きていて」「らき☆すたは武本監督だから愛されるアニメになった。いなくなるなんて無しです」などの投稿が相次いでいる。

 父親は「優しい子。ただ信じられない。それだけです」と言葉少なだった。

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