リスク高い再保釈に抗告提言 保釈急増で最高検検証報告

 保釈中に実刑が確定し、横浜地検が刑務所に収容しようとした無職、小林誠被告(43)=公務執行妨害などの罪で起訴=が逃走した事件。最高検がまとめた検証結果報告書では、実刑判決後の再保釈が急増する中で、被告の収容に当たる検察の現場が人員不足で切迫している現状も浮き彫りになった。報告書は、人員の確保だけでなく、逃亡の恐れなどリスクが高い被告の再保釈決定には抗告(不服申し立て)することを求めるなど踏み込んだ提言をしている。

 「保釈事案の急増に伴って、検察事務官の業務負担は急激に増加し、限られた人的態勢の下で検察の大きな負担となっている」

 報告書は収容現場の現状について、こう記し、危機感をあらわにした。

 裁判所は近年、保釈を広く認める傾向を強めており、最高裁によると、全国の地裁、簡裁が保釈を許可する割合は平成20年の14・4%から29年には31・3%と約10年間で倍増した。報告書では、実刑判決確定時に収容業務が生じることになる1審実刑判決後の再保釈も昨年までの5年間で倍増したことを指摘した。

 だが収容業務に当たる検察事務官の数はここ数年、ほぼ変わっていないといい、「効率化という社会要請もあり増員はままならない」(検察幹部)という。

 報告書では、人員確保に加え、裁判所の保釈決定に対し「必要に応じて抗告するなどの対応を行うべきだ」とした。この提言の背景には、裁判所が広く保釈を認める傾向の中では「抗告しても棄却される」との考えから、検察側が抗告に消極的になっている現状がある。小林被告のケースでも、検察側は反対意見を述べたものの、横浜地裁小田原支部の再保釈決定に抗告はしていなかった。

 今回は、実刑確定から4カ月以上収容されていなかったことも問題視されたため、最高検は実刑確定者の収容状況も調査。昨年1年間に実刑判決後に再保釈された被告のうち、約60%が判決確定日までに出頭。これらを含め、約95%は確定後90日未満で収容されており、今回のように4カ月以上も収容されないのは「極めてまれ」とした。

 90日以上かかった残り約5%には健康上の理由のほか、海外逃亡などで所在不明になっていた者も含まれる。収容時に抵抗して逃走した事例はなかった。

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