電車の熱中症、東京五輪へ課題  密閉空間で温度急上昇

 6日に発生した京成電鉄の停電トラブルでは、乗客たちが熱中症とみられる体調不良に見舞われた。日差しにさらされる大きな窓があり、温度が急上昇しやすい電車の車両。猛暑が続く近年の傾向では、さらに大きな被害が出ることも懸念され、来夏の東京五輪・パラリンピックに向け、公共交通網が抱える課題が明らかになった。

 体調不良の乗客が出た車両は京急電鉄の所有。同電鉄によると、停電に備えて車両には非常用電源があったが、容量は小さく、エアコンは動かせない仕組みだった。「混雑して密閉性の高い電車のような空間では、熱や湿気がこもりやすく熱中症の発症リスクが高まる」。名古屋工業大の平田晃正教授(医用工学)はこう指摘する。

 同様のトラブルは過去にもあった。京阪電鉄では昨年7月、電車が大阪府寝屋川市の萱島(かやしま)駅で動かなくなり、近くを走行中だった電車3本が立ち往生。うち2本はエアコンも止まり、約20人が病院に搬送された。

 今後も同様のトラブル発生は予想され、対策は急務だ。JR東日本では温度上昇などを抑えるため、山手線や京浜東北線などに紫外線や赤外線を遮る機能のある特殊ガラスを使用。ただ今回のように立ち往生し、車内が高温になる恐れがある場合は、窓が開くようになっていることから、乗客に車内アナウンスするなどの措置を講じる。五輪期間中は対策として、主要駅に病院とつながるテレビ電話を設けたり、看護師を待機させたりする方針だ。

 JR東海は来年から導入する東海道新幹線の新型車両に自走用電源を搭載。立ち往生による“缶詰”状態を回避していくが、導入計画数は令和4年までに40編成にとどまる。東京メトロも自走用電源を備えた新型車両の導入を進めているが、まだ全車両ではない。

 帝京大医学部付属病院の三宅康史・高度救命救急センター長は「乗客は車両内に閉じ込められるリスクも想定し、飲料水を持ち歩いてほしい」と強調する。

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