超車社会の群馬 高齢ドライバー事故防止への道遠く

 公共交通機関が未発達な上、冬場は猛烈な北風が吹くといった気象条件もあり、車が生活の足として欠かせない群馬県。そんな群馬でも、高齢ドライバーによる交通事故が社会問題化するなか、各自治体が先進的な事故防止機能の導入を促す動きが加速してきた。ただ、根本的解決策となる「脱車社会」へはそう簡単に向かいそうにない。(柳原一哉)

 免許保有率日本一

 群馬がどれほどの車社会かを示す一つの指標が運転免許保有率。県警によると、平成30年末の保有率は71・5%で全国1位。2位の山梨県に1ポイント弱の差をつけた。

 この日本一は昭和44年から半世紀続いており、その理由は「公共交通機関が十分ではないからでしょう」(県警担当者)という。

 その意見を裏付ける一つがバスの利用率の低さだ。国土交通省の統計をもとに県がまとめたデータによると、群馬の乗り合いバス旅客輸送率は全国最下位となっている。

 県の調査では、バス路線の9割が1時間に1本未満となっており、利用者が増えないのも仕方ないのが現状だ。

 スバルのお膝元で

 そんな完成された車社会の群馬でも、東京・池袋で今年4月、旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長が運転する車が暴走し母子2人が死亡する事故を契機に、高齢ドライバーの事故防止装置導入を促す動きが加速している。

 太田市は65歳以上の市民がSUBARU(スバル)の自動ブレーキなどの運転支援システム「アイサイト」搭載の新車を購入する際、補助金(20万円)を支給する制度を10月にも創設する方針だ。「新制度によってアイサイト搭載車への買い替えを資金面で支援したい」と担当者。令和元年度内に約100台分の利用を見込むという。

 太田市には4000人以上が勤務するスバルの工場があり、相互の協力関係の緊密化も期待される。

 また、隣接する大泉町も7月、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる誤発進を防ぐ装置を購入する際などに費用の2分の1を、上限2万円とした上で補助する制度を創設した。対象は70歳以上の町民。同様の制度は渋川市でも創設される見通しだ。

 押し寄せる人口減

 ただ、高齢ドライバーの事故防止の抜本的解決となる一つが、運転免許の返納。しかし県警によると、群馬は平成30年末の免許保有者が約141万人だったのに対し、同年中に運転免許を返納したのは7055人にとどまる。

 群馬全域と栃木県足利市を対象とした県の平成27、28年度の調査によると、移動手段として車に依存する割合は77・9%に上り、「車がなければ買い物など基本的な生活にも支障をきたしかねない」(県関係者)状況になっている。

 車がなくても生活できるように公共交通機関を整備しようにも、人口減少が影を落とす。群馬の人口は平成5年に200万人を突破したが、22年に200万人を割り込み、その後は右肩下がりに。今年7月現在で193万人まで減った。抜本的な解決策は見えてこない。

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