千葉停電に住民悲鳴! ライフライン途絶から3日…なおも断水・物資不足続く 「缶詰で過ごすしかない」「コインランドリー5時間待ち」 君津市ルポ

 台風15号で送電線の鉄塔が倒れた君津市は12日朝の時点で1万9000戸以上が停電し、断水が続く地域もある。ライフラインが途絶して3日目の11日に同市内で住民の声を聞いた。

 記者はJR東京駅から高速バスでJR君津駅まで向かった。東京湾アクアラインを下りて木更津市内に入ると、看板がなぎ倒され、信号が消えていた。交差点では車が一時停止し、目配せや身ぶり手ぶりで譲り合いながら通行する様子が見られた。

 君津駅に到着後、飲み物を買おうと自動販売機に無意識にお金を入れてしまった記者だが、小銭はむなしく返却口へ。「駅に行くと飲みもの売ってますよ」と近隣の男性が教えてくれた。

 駅売店には、5人程度の列ができ、飲料や食糧などを買い求めていた。水などは冷えていない。スーパーも企業も見渡す限り営業しておらず、商店にも臨時休業の張り紙があった。

 「夜は暑くて何度も起きる」と語るのは、市内に住むタクシー運転手の男性(72)。「冷蔵庫のものは賞味期限までかなりあるが全部処分した。飲み物や調味料しかないので缶詰で過ごすしかない」と疲れた表情を見せる。

 給水所が設けられた周南(すなみ)公民館も停電していた。水道業者による給水や、携帯電話の充電に訪れた人も見られた。

 「無意識にトイレのスイッチやインターホンを押してしまう」と話す主婦(41)は、普段何気なく使用している電気のありがたみを感じたという。「集合住宅なので、(断水で)トイレが流れないのが一番大変です」

 近くにある六手八幡(むてはちまん)神社では、ご神木を含め多くの木が倒れ、鳥居が破損するなどの被害が出た。宮司の葭川(よしかわ)典昭さん(66)は、「ご神木は樹齢500年のものだ。(復旧に)500万円程度かかるとのことで、氏子と相談しなければ」。

 農地では、イチゴや花などを栽培するビニールハウスのビニールが剥がされ、骨組みも曲がっていた。

 「ブルーシートの配給をします-」。防災無線でお知らせが伝わると、小糸公民館には長蛇の列ができた。

 強風で瓦やトタンが吹き飛ばされ、応急処置のためにブルーシートを受け取りに来たという農家の男性(73)は、「娘夫婦が、動いているコインランドリーに行ったら5時間待ちだった。新聞は届くが、テレビは映らず、情報が取れないのが大変だ。ラジオは聴けるが、『緊急の情報はホームページをごらんください』というので困る」と語っていた。

 鉄道やコミュニティーバスなどの運行状況、東京電力の発表内容、ゴミの収集日などの重要な情報はホワイトボードに手書きされていた。

 取材を終え、君津駅からバスで東京駅に戻ると、いつもは何も感じない都心のネオンに違和感を覚えるほどだった。(海野慎介)

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