大阪女児保護から1週間 矛盾する供述と行動、男の動機は…

 大阪市住吉区の小学6年の女児(12)が誘拐された事件は、女児が栃木県小山(おやま)市で保護され、同市の自称派遣社員、伊藤仁士(ひとし)容疑者(35)=未成年者誘拐と監禁容疑で送検=が逮捕されてから30日で1週間。伊藤容疑者は容疑を否認しているとされるが、監禁状況との矛盾点もみられ、大阪府警は詳しい経緯や動機を調べている。2人の接点は会員制交流サイト(SNS)のツイッター。容疑者がツイッター上で誘拐する相手を物色していたとの見方も出ており、専門家は警鐘を鳴らしている。

 「助け出してあげようと思っただけ」「『いつでも帰っていい』と(女児に)言っていた」

 捜査関係者によると、伊藤容疑者はこのような趣旨の供述をし、無理に自宅に連れて行ったのではないとの主張をしているという。

 しかし、未成年者誘拐罪は親などに無断で未成年を誘い出すことで成立する。本人の同意の有無は関係なく、「仮に、犯人が『守ってあげたい、助けてあげたい』と本当に思っていたとしても犯罪は成立する」(捜査関係者)という。

 そのうえ今回の事件では、容疑者の主張とは矛盾する点が明らかになってきている。

 ■「逃げる気力そいだか」

 「スマートフォンを使うな」。府警によると、女児は伊藤容疑者からこう命じられたという。スマホも取り上げられ、家宅捜索で見つかった際には、通話や通信に必要なSIMカードが抜かれていた。

 靴やリュックサックなど女児の所持品の一部は見つかっていない。伊藤容疑者が処分した疑いがあり、食事は1日1回程度、風呂は2日に1回程度に制限されていた。

 「女児の体力を落とし、所持品を取り上げて逃げる気力をなくそうとした狙いが感じられる」。奈良女子大の岡本英生教授(犯罪心理学)はこう分析する。

 女児に大きな外傷はなく、手錠などで拘束された形跡も確認されていない。短期間の監禁であれば暴力などを用いる手口もあるが、長期的に支配下に置くためには精神的な拘束が必要となるといい、岡本教授は「今回のケースも、長期にわたる拘束を狙っていた可能性がある」と指摘。容疑者がこうした狙いを持ち、「SNSで網を張っていたことも考えられる」としている。

 ■非常に危険な構図

 「家に帰りたくないよ…」「誰か泊めて」。ツイッター上には、少女のものとみられる家出をほのめかす投稿があふれる。

 それに対し、「泊めてあげるよ。どこに住んでいるの」「ダイレクトメッセージください」といった返信メッセージが多数寄せられる。投稿には、検索目印となる「#(ハッシュタグ)」が付けられ、「#家出少女」「#泊めてください」といった文言が並ぶ。

 未成年のSNSをめぐる問題に詳しい兵庫県立大の竹内和雄准教授は、こうした機能によって「今は、面識がない少女らの家出計画の投稿を簡単に検索できる」と問題視する。「家族などにも言えない悩みを持つ子供の投稿を狙う大人がおり、子供も理解者のように接近する大人を頼ることがある。非常に危険な構図だ」と呼びかけている。

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