数カ月前から周到準備か 頻繁下見、元特殊部隊員ら協力 ゴーン被告逃亡

 レバノンに逃亡した日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告(65)=会社法違反(特別背任)罪などで起訴=が不法に出国するまでの足取りが徐々に明らかになってきた。逃亡に協力したとみられる米国人男性らが下見を繰り返し、数カ月前から周到な脱出計画を立てていたことも判明。帰省ラッシュの混雑時を狙い、監視の目が行き届かない“抜け穴”を突く形で逃亡していた。東京地検と警視庁は、入管難民法違反(不法出国)容疑などで捜査を進めている。

 ■帽子とマスク

 関係者によると、ゴーン被告が保釈条件で指定された東京都港区の住宅を1人で外出したのは、昨年12月29日午後2時半ごろだった。帽子とマスクで顔を隠しながら、六本木のホテルを目指して足早に歩く姿が防犯カメラに写っていた。

 ゴーン被告はホテルで協力者とみられる外国人男性2人と合流。男性らは米陸軍特殊部隊「グリーンベレー」の元隊員と警備会社関係者だった。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル電子版によると、逃亡計画には多国籍の10~15人程度のチームが関与。20回以上にわたり来日して国内の少なくとも10の空港を下見していた。

 警備会社関係者の男性らは数カ月前から出入国を繰り返し、下見や逃亡ルートを入念に確認していた疑いがあるという。

 ホテルでは、部屋を予約したとされる別の外国人男性とも接触。ゴーン被告はホテルの一室でジーパンなどに着替えた後、脱出作戦の「プロ」とみられる元隊員ら2人と行動を共にすることになる。

 ■帰省ラッシュ

 3人の姿は午後4時半ごろ、品川駅で確認され、東海道新幹線に乗車した。JR東海によると、29日午後の新幹線は帰省ラッシュでほぼ満席だった。捜査関係者は「車の方が隠密行動に向いているが、渋滞で時間がかかる。あえて混雑している新幹線での移動を狙ったのだろう」とみる。

 新大阪駅で下車した3人は午後7時半ごろ、タクシーで関西空港近くのホテルへ向かった。

 午後10時ごろ、ゴーン被告に同行した2人が、事前にホテル内に搬入していた音楽コンサート設備用の大きな箱2つを運び出す姿が防犯カメラに写っていた。だが、ゴーン被告の姿はなかった。箱には呼吸のための穴が開けられており、ゴーン被告は箱の中に身を隠していた可能性が高い。

 2人は、米国籍の旅券を提示して関空発のプライベートジェット(PJ)に搭乗。この際、2つの箱を機内に持ち込んでいた。

 ■逃走資金は潤沢

 航空法は保安検査について、運航する航空会社の責任で行うよう規定。エックス線検査は義務化されていない。関空を運営する関西エアポートによると、第2ターミナル内にあるPJ専用ラウンジでは、運航会社側から必要との申告があれば関西エアが委託した業者が保安検査を行っていた。

 箱のエックス線検査は実施されないまま、ゴーン被告を乗せたとみられるPJは午後11時10分に離陸。その後、トルコ・イスタンブールで別のジェット機に乗り換え、レバノン・ベイルートに入ったとされる。

 ある日産関係者は「箱に隠れて機内に乗り込むなんて世界的な元経営者がやることではない。恥ずかしくないのか」とあきれる。

 逃亡計画にかかった費用は数百万ドルとも1千万ドル以上ともみられるが、ある検察幹部はため息交じりにこう語った。「ゴーン被告にとって計15億円の保釈保証金なんてはした金だったということだ。潤沢な逃走資金があったわけだから」

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