熊本豪雨 83歳独居性、屋根に上がり脱いだ服を振った

わずかな時間が

 そのころ、堀川さんには知人から次々と電話がかかり、「すぐ避難して」と言われていた。だが、「朝ご飯を食べてからで間に合うだろう」とまず食事をとった。このわずかな時間が、避難の機会を奪うことになった。

 しばらくして、掃き出し窓の向こうから濁流が押し寄せてくるのが見えた。「大変だ」と思ったときには、畳の上まで浸水。タンスや冷蔵庫などが倒れ、思うように動けなくなった。やっとの思いで掃き出し窓にたどり着いたが、すでに水位は高さ2メートルの窓の半分以上まで上昇していた。

 「この窓を開けたら、水が一気に流れ込んでおぼれてしまう」。掃き出し窓の上にある幅約30センチメートルの小窓から体を出して、屋根の上によじ登った。

 「ここで死んでしまうのかもしれない」と覚悟したが、堀川さんは諦めなかった。服を脱いで頭上を飛ぶヘリコプターめがけて振り回し、懸命に助けを求めた。

 約2時間後、県警と消防のボートが堀川さんを救助。避難所で村上さんとも再会し、「みんなの意見に素直に従うべきだった。命が助かったことに感謝したい」と喜んだ。

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