「もうダメだ」防災意識高かった旅館でも…女将ら濁流飲み込まれ

 気象庁の観測データでは湯布院周辺は、7日朝から雨は落ち着いていたが、深夜になって急激に雨脚が強まり、結果的に7日の雨量は前日の約2倍になった。

 同じ地区に住む、佐藤朗(あきら)さん(60)は午後11時ごろ、岩が転がるような音と振動で眠りから覚めた。川の様子を見ると、激しい流れが岸をえぐり、斜面も複数カ所が崩れていた。

 避難のため外に出ると、渡辺さん一家も車を出すところだった。佐藤さんは山沿いの道を上がっていったが、渡辺さん一家は前日過ごした市役所に向かう川沿いの道を進んだ。その途中で流されたとみられる。

 死亡した登志美さんは、湯平温泉の名物女将(おかみ)。周囲から「登志姉」と愛され、酒席の盛り上げ役だった。健太さんは旅館の公式キャラクターを考案。ツイッターなどのSNSで「電脳女将」として話題となった。

 知己さんと由美さんはおしどり夫婦で、地元サッカーチームの大ファン。いつも一緒に観戦に出掛けていたという。親族の男性(24)は「いつも当たり前にいると思っていた4人がいない旅館を見て、存在の大きさを知った」と沈痛な面持ちで言葉を絞り出しながら、こう訴えた。

 「いつも早めに避難していた家族でも逃げ遅れてしまった。今まで被害に遭ってこなかった人たちも、自分のような悲しい思いをする人が出ないよう、改めて早めの行動が大事だと分かってほしい」

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