「黒い雨」訴訟 高齢化する原告団、軽くない司法判断

 広島への原爆投下直後に降った「黒い雨」の降雨範囲や健康被害をめぐる初の司法判断は、原告側が一貫して訴えてきた主張を全面的に認めた。

 広島県や広島市に、被爆者健康手帳の交付申請却下の取り消しを求めた今回の訴訟。主な争点は(1)国が大雨地域だけを援護対象とした「特例区域」の線引きが妥当か(2)黒い雨で健康被害が出る程度の被曝(ひばく)をしたか、だった。

 県と市が却下の根拠とした国の降雨範囲の「線引き」について、広島地裁の判決は「被爆後の混乱期の調査に基づいており、調査範囲や収集データは限界がある」と妥当性に疑問を投げかけた。その上で「黒い雨に遭った」との原告の体験証言の信用性を認め、「黒い雨はより広範囲に降った」と指摘した。

 原告らは黒い雨による内部被曝でがんや白内障を発症したと訴えてきた。40年以上前から援護対象の拡大を訴えてきた人もいる。だが原告団は高齢化しており、5年前の集団提訴以降、副団長を含む多くの人が他界した。

 原爆投下から間もなく75年。黒い雨と原告側の病気の因果関係を「科学的根拠がない」と否定した国の主張は認められなかった。控訴も可能だが、法廷で長年、主張を闘わせた上での司法判断は決して軽くない。

 判決は国による線引きの見直しなどを含め、援護行政に大きな影響を与えそうだ。(桑村朋)

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