高齢者に多い「大動脈弁狭窄症」 症状なく進行…早期発見重要

 心臓の弁の一つである大動脈弁の開きが悪くなり、血液の流れが妨げられてしまう「大動脈弁狭窄(きょうさく)症」。加齢に伴い、弁が硬くなることが原因で起こることが多く、高齢化により患者数が増加している。無症状の期間が長いが、進行すると突然死につながる恐れもある。専門家は「動悸(どうき)や息切れを感じたら、早めの受診を心がけてほしい」と話している。(油原聡子)

 ◆人工弁の手術

 東京都北区の無職、伊藤清一さん(90)は今年5月、階段を上ったときに胸が苦しくなったり、食事の後に胸焼けがしたりするようになった。不安に思い受診すると、大動脈弁狭窄症と診断された。

 医師からは、「重症なので早期に治療しないと突然死や心不全の可能性がある」と告げられた。「突然のことで驚いた。知らないうちに症状が進んでいてショックでした」と伊藤さんは振り返る。

 8月にカテーテルで人工弁を留置する手術を受けた。経過は良好だという。伊藤さんは「胸の重苦しさがなくなった。高齢でもできる治療法があってよかった」と話す。

 ◆加齢が原因

 心臓内には血液の流れを一方向にするために4つの弁がある。肺で酸素を受け取った血液は、左心房、左心室を経て、大動脈弁を通り、大動脈に送られる。この大動脈弁の開きが悪くなるのが大動脈弁狭窄症で、「心臓弁膜症」の一つだ。

 大動脈弁狭窄症のなかでも特に多いのが、動脈硬化のような変化が原因で起きるケース。東京ベイ・浦安市川医療センターの渡辺弘之・ハートセンター長は、「加齢により新陳代謝が悪くなり、大動脈弁が石灰化して硬くなってしまう」と説明する。

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