老いや死…オトナの感覚を求める灘中入試問題「ういてこい」って?

 それには、海やプールやあるいは風呂場で、子供自身が波間に漂ったり、玩具を浮かべたりといった体験があることが重要になってくる。

 大西教頭は「こういう雑題を出すのは、あくまで日本の伝統や文化に触れてほしいからです」と、「触れる」=「体験」の大切さを繰り返す。

■大人でも難しい人生の機微

 「灘中ってね、老いとか死とかムツカシイお話がよく出題されるの」

 灘中の入学試験の前夜、神戸市内のホテルで、息子がこう言いだした。

 過去問題集から詩の問題を1つだけ解いて眠ろう、と選んだ詩は、辻征夫(つじ・ゆきお、1939~2000年)の「棒論」。道に木の棒が落ちていたので胸が痛んだ。不要部分として捨てられたものかもしれないと、シンプルな内容がつづられている。

 定年退職したのか、左遷されたのか。あるいは別の事情があったのか。登場人物の説明はないが、「暗い」「行方不明」「混とん」といった文字が並ぶ詩から、「可能性」や「希望」を読みとらせる問題だ。

 大人でも解釈が難しい人生の機微への理解を小6男児に求める灘中の試験問題に改めて驚かされた。

 「ういてこい」の問題に出てきた俳人、能村登四郎(のむら・としろう、1911~2001年)の俳句も、玩具を季語に使いながら無邪気な遊びを描いているわけではない。

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