愛梨へ 震災遺族の6年半(3)姉の風船 答えてくれた 妹、姉に手紙「ママとパパ 笑わせて」

 幼い女の子が早くに命を落とした姉に手紙を書く。

 〈お姉ちゃんがいなくなってママとパパは元気がないの。お願い、2人を笑わせて〉

 風船に結び、空に放つ。

 東日本大震災の被災地、宮城県を舞台にした短編映画が昨年上映された。

 主人公の子の名は「じゅり」と言った。

 8月の夏休み。

 佐藤珠莉(じゅり)さん(10)=宮城県石巻市=は地元の国営公園に来ていた。

 3歳の時に震災に遭っている。3つ上の姉、愛梨(あいり)ちゃん=当時(6)=を失った。

 公園は姉が亡くなる前年に家族で訪ねている。母の美香さん(42)と姉と3人で撮った写真が残る。

 それを頼りに同じ撮影地点を探す。今度は母と2人で納まった。

 珠莉さんは小学4年生になった。

 自宅の洗面台の下に踏み台がある。高さ20センチ。妹が乗ると、姉に背が届いた。そうやってよく2人で並んで歯磨きをしていた。

 背比べする相手がいなくなり、踏み台はお役御免になった。

 クリスマスは決まっておもちゃをねだっていた。

 「もう要らない」

 姉がこの世を去ってから欲しがらなくなった。

 〈お姉ちゃんに会わせてください〉

 枕元に置くサンタさんへの手紙に記されていた。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ