さらなる鉄道のバリアフリー化、整備費用の一部を利用者負担検討は是か非か?

【ニッポンの議論】

 車いすで移動できるルートを複数確保するなど、さらなる鉄道のバリアフリー化について、国土交通省の有識者検討会が2月、整備費用の一部を利用者負担とする制度の検討を求める中間報告を公表した。東京五輪・パラリンピック開催や超高齢社会への対応のため、運賃上乗せなどで財源を確保し、バリアフリー化を促進する狙いだが、利用者の理解は得られるのか。高齢者らの交通に詳しい中央大教授の秋山哲男氏と、交通評論家の佐藤信之氏に聞いた。(油原聡子、松田麻希)

■佐藤信之氏 税金で広く浅く負担せよ

 --鉄道バリアフリー化のために、利用者負担が検討されている

 「国や地方の財政が厳しく、次善の策として利用者負担が議論されている。視覚障害者のホーム転落事故が相次ぎ、安全性向上に対する社会的関心が高まったことも大きい。今なら、2020年東京五輪・パラリンピック開催に伴う観客輸送を確実に安全に遂行するという大義名分の元で、受益者負担が受け入れやすい環境が整っていることも影響しているのでないか。ただ、本来、国や自治体が責任を負うべき分野を安易に事業者や旅客に転嫁していないだろうかという疑問がある」

 --バリアフリー設備の受益者は鉄道利用者だという指摘がある

 「バリアフリー化は社会福祉施策。一般論として、身体障害者用の施設の建設費用は身体障害者が負担すべきなのかというと明らかに違う。受益者負担がなじまない部分があり、税金で国民が広く浅く負担すべきだ。バリアフリー化によって安定・安全運行ができるようになれば沿線価値が上がり、最終的には固定資産税の上昇などで自治体にもメリットがある。鉄道事故が減れば、その対応に使われていた税金も浮くはずだ」

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