正倉院宝物の麻材質、国内製の大半は大麻か苧麻(ちょま) 特別調査で判明

 正倉院宝物の袋、衣装類など64点を対象に宮内庁正倉院事務所が麻材質を特別調査した結果、国内で作られた布の大半は大麻か苧麻(ちょま)製であることが分かった。一方、中国・唐製と考えられているはき物「繍(ぬいの)線(せん)鞋(がい)」には、国内で自生しない黄(こう)麻(ま)が用いられていることも判明。先月発表した「正倉院紀要」第40号に調査報告が掲載された。

 調査は平成25~27年、奈良時代の麻繊維の利用形態を広く捉えるために麻布のほか、緒、ひも、糸類も含めて実施。増田勝彦・元東京国立文化財研究所修復技術部長ら4人が担当し、目視観察と高精細デジタルカメラ記録、顕微鏡観察を行った。

 調査の結果、麻布のほとんどは大麻か苧麻だった一方、舶載品らしい「繍線鞋」4点のうち1点の麻布芯に、国内では自生しない黄麻が使われているとみられることが分かった。また、一部の宝物では、イラクサやフジに似た繊維の利用が確認されたという。

 紀要では、「全国における繊維利用の状況との対比によって、正倉院宝物の繊維類の特色というか偏りを浮き出させる研究も期待できる」などとしている。

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