にぎわう戦前の広島、VRで再現 被爆者の絵から高校生作製

 広島県福山市の福山工業高の生徒6人が仮想現実(VR)の技術を使い、にぎわっていた戦前の広島の爆心地周辺を再現する取り組みを進めている。被爆者の森富茂雄さん(88)=広島市西区=が描いた町並みの絵を基にしており、VRを実際に体験した森富さんは「よくできている。懐かしい」と笑った。

 森富さんは実家の寝具店が爆心地近くの細工町(現・中区大手町)にあり、広島県産業奨励館(現・原爆ドーム)周辺は遊び場だった。被爆時に郊外の工場にいて助かったが祖母や父、弟らを亡くし思い出深い細工町も焼け野原となった。

 被爆前の町の様子を伝えようと約30年前に絵を描き始めた。「記憶力はあるから細かく描いた」。商店名や看板の柄まで丁寧に表現した鉛筆画は40枚を超す。

 生徒らは約2年前から取り組んできた。森富さんの実家や爆心直下となった島病院を含む最大で東西南北約300メートルの範囲を壁の塗装の剥げ具合や街灯のさびまで細かく表現。島病院は内部まで入れるようにした。今後、繁華街だった中島本町(現在の平和記念公園)や原爆ドーム周辺もよみがえらせる予定だ。

 生徒6人は計算技術研究部の部員でCG作製を学んでいる。当時の写真なども参考にVRを作り上げた。

 生徒の一人で3年生の岡田芽衣さん(17)は「戦前の広島が多くの人が住むにぎやかな街だったと分かった。一瞬で生活が失われたことを感じてもらえるよう、これからも忠実に作っていきたい」と話した。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ