大阪市中央公会堂 開館から100年 歴史伝えるミュージカル・アート広まる

 大阪・中之島のシンボルで重厚なレンガ造りが特徴的な大阪市中央公会堂が今年11月、開館から100年を迎える。一人の大阪商人の心意気により建設され、戦災や解体の危機を乗り越え、市民の集いの場として長年親しまれてきた。国の重要文化財でもあり、近年は観光スポットとして人気だ。100年という節目を機に歴史を振り返り、未来へつなげる取り組みも広がっている。(杉侑里香)

 大阪商人の心意気で

 公会堂は大正7(1918)年、株式の仲買人で財をなした岩本栄之助が「誰もが利用できる場所を」と大阪市に寄付した私財100万円(現在の数十億円相当)で建設された。

 その後、株式相場の暴落で莫大(ばくだい)な損失を抱えた岩本は公会堂の完成を見ることなく39歳で自ら命を絶った。生前、寄付の一部を返してもらうよう勧める声もあったが、「一度寄付したものを返せというのは大阪商人の恥」と拒否した上での選択だった。

 遺志を受け継ぎ、建設された公会堂は地上3階、地下2階建て。東京駅や奈良ホテルなどを手がけた建築界の重鎮・辰野金吾が設計に関わり、市民が利用できる貸室を備え、歌劇の公演が行われるなど、にぎわいを見せた。

 その後、戦局の悪化による金属供出で神話をモチーフにしたシンボル像などを撤去。昭和20年の大阪大空襲では被災市民を受け入れ、業務を停止するなど戦禍のあおりを受けたが、戦後は再び活気を取り戻した。

 老朽化に伴い46年には市による建て替え構想が浮上し、大議論に発展したものの最終的に永久保存が決定。企業や市民の寄付で保存・修復工事が実施され、平成14年、創建当時の姿でよみがえり、国の重要文化財に指定された。

 節目にミュージカル

 近年はイルミネーションイベントで、音楽に合わせた映像を会場の壁に映し出す「プロジェクション・マッピング」が行われるなど新たな試みもあり、国内外の観光客から人気を集めている。

 11月には100周年を節目に、岩本の人生をモデルにしたミュージカルも上演される予定だ。タイトルは「愛が降る街」。劇団SHOW-COMPANYの主催で、約10年ぶりの公演となる。

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