長野・茅野 山下清・放浪美術館 はかなく輝いた生涯投影

【ミュージアム】

 「放浪の天才画家」とも「裸の大将」とも評され、49歳でこの世を去った山下清は、言語を自由に用いることができず、子供の時分に千葉県の救護施設で過ごした。だが、人生とはどう転ぶかわからない。紙などを貼って絵に仕上げる貼り絵と出会い、一躍有名になった。18歳で施設を出奔。放浪の旅に出る。

 美術館には、旅先でお世話になった方々への感謝を示した品々の展示コーナーがある。掛け軸には、ヒマワリやアサガオなど3種類の花が描かれ、それぞれにアリと蛾、トンボが止まっていた。清のしゃれた遊び心だとつくづく思わされたのは、千村典弘館長にお話を聞いたときである。昆虫の名前をつなげて読めば、「ありがと」となる。

 「清とお地蔵様」というタイトルが付された作品の前に立つ。季節は晩夏か。山々が連なり、裾野には草木が生い茂る。カラッと晴れていて、雲が棚引く。優しい表情をした巨大な仏像が2体、眼下の少年と少女を見下ろしている。

 なぜ仏像がこれほど巨大なのだろう。仰ぎ見る少年と少女の心境は、なぜ2人でいるの…。さまざま考えさせられるから面白い。千村さんによれば、少年は清自身なのだという。生前の写真よりかなりスリムなのはご愛嬌(あいきょう)、といったところか。少女とは交際しているのだろうか。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ