「日米の期間ズレ」留学生の就活、環境整備へ 通年採用の拡大検討や説明会も

 海外に留学していると就職活動(就活)に不利になる-。そんな環境は少しずつだが、変わりつつある。

 日本の大手電機メーカーから3年前、米ケンタッキー州の米企業に出向した朝田浩暉さん(28)。現在、外国人に交じり、出向先で中枢となる経営企画の仕事に携わっている。

 京都大経済学部の3年時、米ワシントン州シアトルのコミュニティーカレッジに約1年間留学した。学位を取らない留学だったが、一般教養科目だけでなく、市場調査や芸術まで幅広いプログラムを受講。学校生活以外でも3カ月間、写真スタジオでインターンシップも経験し、「充実した毎日を送ることができた」。

 平成24年の秋に帰国すると、友人は企業の内定を得ていた。焦りを感じながら飛び込んだのが、留学経験者を対象とした就職説明会だった。面接では留学生活で得た英語力と高い適応力を前面にアピールし、25年7月、大手電機メーカーの内定を得た。

 入社3年目に米国赴任が決まり、留学で養った英語で不自由なく仕事をこなしている。「留学経験者にとって就活はスケジュールがタイトだったが、今の仕事には当時の経験がいきている」と強調する。

 日米の期間ズレ

 

 米国の大学は1年の授業の終了時期が5~6月で、留学から帰国後、日本で新卒の就職活動を始めようとしても、乗り遅れてしまう。留学したくても踏み切れない理由の一つとされる。

 就職情報大手ディスコの調査によると、大学3年の12月に会社説明会が始まり、大学4年の4月に選考が始まっていた平成25年、留学した学生342人のうち、「留学が就活に不利になった」との回答(28・1%)が、「留学が就活に有利になった」の回答(23・7%)を上回った。

 その後、就活のルールは「会社説明会は3年生の3月、4年生の6月以降選考」となり、ルール上は帰国に間に合うようになった。

 文部科学省が30年度に実施した、全国の大学などを対象とした調査でも、「ある程度以上の企業が、留学経験者向けのスケジュールを別途示すなど、留学が不利にならないようにしていた」との回答が前年度比1・4ポイント増の7・5%と、留学経験者に向けた就活の環境が整いつつある。

 ただ、ディスコが昨年実施した調査では、留学生の半数前後が日本の就活スケジュールに反対している。「帰国が7月で選考解禁時期に間に合わない」「選考の解禁時期に従わない企業もあり逃してしまう」との声もあり、留学と就活の「ずれ」が浮かび上がる。

 通年採用を検討

 ディスコは、留学生の就活を支援しようと、毎年秋に米ボストンで約200社を集めて就職説明会「ボストンキャリアフォーラム」を実施。欧米や豪州などから学生5千人以上が集まり、その場で面接から内定まで行われる企業もある。留学生が帰国する6月ごろには日本でも就職説明会を開く。

 また、経団連も留学生に配慮した通年採用の拡大の検討を始めるなど、経済界も留学生の就活の環境整備に乗り出した。

 この取り組みについて、ディスコの担当者は「留学生にとっては企業選びの選択肢が増え、企業にとっても優秀な留学生を採用する機会が増えるだろう」と話した。(猿渡友希)

 ■米、留学生の情報管理徹底

 世界で最多の年間100万人以上の留学生を受け入れる「留学大国」の米国では、留学生の情報管理は徹底されている。

 留学生に関する情報は、米国土安全保障省が所管するデータベース「SEVIS(セビス)」に集約され警察にも共有される。留学生が渡米の際に就学ビザの取得に必要な、米国内での居住先など基本的なデータのほか、財政能力などの極めて個人的な情報も把握している。

 米国政府は大学など留学先に、留学生に関する情報を徹底管理させている。各校に配置されている留学生アドバイザーが通常の相談業務のほかにも、留学生の住所変更や授業登録の取り消し、単位の取得などの動きを把握、学校側が同省移民局に報告することが求められている。

 東京福祉大(東京都豊島区)で、「研究生」として受け入れた留学生約1400人が所在不明になっている事態が発覚したことは記憶に新しい。就学ビザが切れるなどして不法残留の状態だったことが明らかになり、学校側のずさんな管理体制が浮かび上がった。

 米国土安全保障省の担当者は「米国の留学生の管理体制は万全だ」と自信をみせる。東京福祉大の失踪問題については、「そんな事態は米国では起こりえない」と苦笑いを浮かべた。

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