鉄オタ向け介護サービス 路面電車で実証実験

 鉄道ファン向けに、介護プログラムを動く電車内で提供する実証実験「電車で老GO!」が3月9日、北海道で行われた。開業100周年を迎えた日本最北の路面電車、札幌市電に揺られて約1時間。実際に乗車し、未来型の介護サービスを体験してみた。(牛田久美)

◆電車で体幹を鍛える

 午前11時、札幌市の「すすきの」停留場。1両編成の「3300形3305車」が出発した。環状線を内回りで1周する。

 「本日は札幌市電にご乗車くださり、誠にありがとうございます。これから、あへあほ体操を始めます」

 手製の車掌さん用帽子をかぶってマイクを握るのは、函館市の団体職員、重山喜重さん(33)。熱烈な鉄道ファンだ。重山さんは“路面電車好きの乗り鉄”という。

 参加者が自己紹介をした後、重山さんのかけ声で、さっそくあへあほ体操に挑戦。札幌発の腹筋運動で、「あ」「へ」「あ」「ほ」と発声しながら、「へ」と「ほ」で腹をへこませる。貸し切りのため、車両は各停留場を通過。ホームで電車を待つ乗客たちは、

 「あっへー!」

 「あっほー!」

と車内で叫ぶ私たちを、目を丸くして見ていた。

◆社会通念を破る提案

 主催は、厚生労働省の補助事業「これからの介護・福祉の仕事を考えるデザインスクール」。公募の470人が知恵を絞り、全国で67の提案が生まれた。電車で老GO!はその一つだ。

 昨年12月、東京・上野公園の地区発表会で「人生は60歳からが楽しい」「いつまでもときめきとセックスのある日々を応援したい」とマイクを握ったのは20代の女性、東京都内の在宅診療所のアシスタントだ。会社員、就労支援員、介護士、歯科医、社会福祉士と「医師監修の雑誌キュンキュン」創刊を発案した。

 ほかに、介護施設で酒を醸造して地域の交流拠点にする▽小学校の主要5科に介護や老いの要素を組み込む-など社会通念を打ち破るさまざまな提案が発表会「おいおい老い展」(3月末、東京)に並んだ。

 電車で老GO!は、施設に通うのではなく、街で好きなことをしようと「移動式介護」を検討した班が「札幌といえば市電」と意気投合。北海道の鉄道おたくに対し、東北では軍事おたく向けにほふく前進などを運動に導入、指導できる専門スタッフを募った。

 デザインスクールを主催した「スタジオ・エル」(大阪府吹田市)の山崎亮代表(45)は「住み慣れた地域の介護施設からおたくを探すと2~3人しかいないかもしれない。テーマ型で集まって、そこへ引っ越すぐらいのことが、人生最後の選択としてあってもよいと思う」と語る。

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