旅のお供に作りたて「ハンバーグナポリタン」 JR仙台駅「ハチ」

絶品必食編

 新幹線の旅に「できたて」を持ち込むと気分がアガる。駅弁にも加熱式があるが、冷めたものを温めるよりも、やはり「作りたて」がいい。

 だが混雑する東京駅では温かい弁当自体、入手困難だし、最近、新大阪駅などでは、匂いが漂いがちな豚まんやたこ焼きファンが肩身の狭い思いをしているという。なんとも世知辛い話だ。

 そんなときは仙台である。

 JR仙台駅の3階、新幹線の改札からほど近くに、2016年から「ハチ」という地元の洋食店が入っている。

 最近はもう行列店の趣だが、テイクアウトなら並ぶ必要はなく、調理時間の10分程度待てば、ホクホクで新幹線に乗り込むことができる。

 肉党として選ぶべきは「ハンバーグナポリタン」。目玉焼き乗せにするかどうかの苦悩もぜひ楽しんでいただきたいが、このお子様ランチ的セットが、仙台→東京間の食事にうってつけなのだ。

 「ハチ」のハンバーグは牛7:豚3の黄金比率。つなぎ多めの昔ながらの作りで、玉ねぎはやや控えめ。

 その分、匂いもやさしく車内でも気兼ねなくハンバーグにフォークを突き立てられる。しかも上品すぎず、一定のジャンクさを上手に残しているのが心憎い。

 ちなみに下に敷いてあるナポリタンもかなりの逸品。2・2ミリの極太麺を使い、2013年にはカゴメ主催の「ナポリタンスタジアム」というイベントの来場者投票で日本一を獲得している。

 うれしいことに駅ナカのこの店、朝の7時30分から夜は22時30分まで営業している。つまり県外の乗降客にとってはいつでも開いている実に頼りになる洋食店なのだ。

 新幹線に乗り込み、熱さの残るハンバーグを一切れ口に放り込む。デミグラスソースの染みたナポリタンをくるくると巻きながら、ビールかハイボールで喉を潤す。

 ああ、なんと幸せな忙しさ。「今日こそゆっくり食べよう」との決意もむなしく、気づけば目の前には空になった皿と缶。こうしてまた「次回こそは!」と決意を新たに、課題を先送りしてしまうのだ。

 ■松浦達也(まつうら・たつや) 編集者/ライター。レシピから外食まで肉事情に詳しく、専門誌での執筆やテレビなどで活躍。「東京最高のレストラン」(ぴあ刊)審査員。

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