経済効果400億円も…百舌鳥・古市古墳群、課題は分かりにくさ

 百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群の世界遺産登録を機に、地元自治体や観光業界では経済効果への期待が高まっている。ただ、古墳は立ち入り禁止で全体像も見えないなど、観光資源としては弱点があり、課題克服の取り組みが欠かせない。

 旅行各社は世界遺産登録を歓迎。JTBは「世界に知ってもらうきっかけになる」(広報)とし、大阪市内に集中する観光客が堺市などを訪れる機運が高まるとみる。阪急交通社も「旅行消費に弾みがつく」(広報)と期待する。関西大の宮本勝浩教授は、堺市の今年の観光客数が前年比1・5倍の約1600万人に上ると推計。経済波及効果は約400億円とはじく。

 ただ、国内に22ある世界遺産の観光客数は明暗が分かれている。平成4年登録の姫路城(兵庫県姫路市)は、登録前に比べ2倍ほどの水準で推移。一方、19年登録の石見(いわみ)銀山(島根県大田市)は20年に81万3200人を集客したものの、30年は24万6300人と、登録前の40万人より落ち込んだ。悩みは、観光地としての見せ方の難しさだ。大田市観光振興課の松村和典課長補佐は銀山について「一目で分かりづらい」と説明する。

 百舌鳥・古市古墳群の場合も、仁徳天皇陵は墳丘の長さが486メートルに及び、地上からは小高い森にしか見えない。

 堺市博物館は、古墳群の上空からの眺めを疑似体験できるバーチャルリアリティー(VR)装置を7月下旬に20台から40台へ倍増させる。それでも1日に利用できる人数は約360人にとどまる。市はヘリコプターなどでの定期観覧ツアーも模索するが、費用や乗員数の制約から抜本的な解決策にはなりそうもない。

 宮本教授は「新しい試みが必要。空からの眺めを大勢で体感できるアトラクションを設けるなど、『バーチャルシティー』として売り出してもおもしろいのでは」と提案している。

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