神戸にストリートピアノ急増中 にぎわいと交流の場

 駅や商店街などで誰でも自由に弾くことができる「ストリートピアノ(街角ピアノ)」を設置する動きが神戸市内で広がりをみせている。市は今年1月から市内数カ所に設置を進め、7月11日には山陽新幹線新神戸駅にも新たにピアノを置いた。市の担当者は「地元住民や観光客らの交流の場になれば」と期待を込める。(木下未希)

 神戸市中央区の地下商店街「デュオこうべ」。通行人や買い物客らが足を止め、ピアノから流れるメロディーに耳を傾けていた。ショパンの「幻想即興曲」やパガニーニの「ラ・カンパネラ」などの演奏が終わると周りからは一斉に拍手が起こった。

 演奏していたたつの市の会社員、熊橋洋介さん(34)は「開放的で緊張感のある空間で演奏ができることが魅力。演奏後、拍手が起こったり、『お上手ですね』と声をかけてくれたりする人がいてうれしい」と照れくさそうな表情をみせた。

 音楽による街のにぎわいを創出しようと、神戸市は今年1月、デュオこうべにピアノを試験的に設置。当初は落書きや近隣の店のクレームを懸念していたが、「地下街の雰囲気が明るくなった」など好評の声が多く、3月から市内で初めて常設にした。小学校や幼稚園で不要になったピアノを転用しており、現在は神戸電鉄鈴蘭台駅前の再開発ビルや新神戸駅など市内4カ所に設置している。

 街中にピアノを設置する動きは近年、全国的に広がりをみせている。

 国内で初めてストリートピアノを設置したのは平成23年の鹿児島市の一番街商店街とされる。「九州新幹線開業に合わせ、通行量の減っていた商店街ににぎわいを取り戻そう」と設置を決め、今では地域住民の交流の場となっている。

 その後も設置の流れは続々と進み、昨年は北九州空港2階出発ロビーに地元住民から寄贈されたピアノを設置。今年4月には東京都庁の展望室に前衛芸術家で18年に高松宮殿下記念世界文化賞を受賞した草間彌生さんが装飾を監修した水玉模様の鮮やかなピアノが設置された。都庁では1日50人以上が利用し、演奏待ちの行列ができる人気となっている。

 ストリートピアノはもともと、10年ほど前の英バーミンガムが発祥で、その後に世界各国に広がったとされる。

 近畿大経営学部の高橋一夫教授(観光マーケティング論)は「音楽を通じて新たなコミュニケーションが始まり、空間にもにぎわいが生まれる。イベント開催など地域の活性化に役立てられるほか、観光資源としても活用できるのではないか」としている。

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