伝道師600人輩出 うどん版「虎の穴」

 「うどん県」ならではの光景だ。大学名の入った手ぬぐいを頭に巻き、力いっぱいうどんの生地をこねる留学生たち。香川大で8月、同大農学部(香川県三木町)と、讃岐うどんに関する調査や研究を行う「さぬきうどん研究会」が共同で開催する「留学生うどん教室」が開かれた。同学部では単位が取得できる「うどん学」も開講。国内外問わず大勢の讃岐うどん“伝道師”を送り出している。

 「讃岐うどんは『讃岐(香川県)で作るうどん』という意味なんです」。8月29日、香川大農学部の講義室。インドネシアやタイ、ベトナム、中国などからの留学生と日本人学生の計約60人を前に、同研究会の諏訪輝生会長が講義をした。

 講義では、食べ方は(1)だしにつける「釜揚げ」「ざる」(2)だしをかける「かけ」「ぶっかけ」(3)だしを使わない「しょうゆ」「釜玉」-があるなど、讃岐うどんについて一通り勉強した後、場所を食堂に移してうどん打ち体験も行われた。

 実技は県内外でうどん店を展開する「さぬき麺業」(高松市)の香川政明社長が指導。「手を大きく、ぐるぐる回します」と香川社長が声をかける中、留学生らは小麦粉と塩水をおけに入れてかき混ぜて生地をつくり、体重をかけてこねたり、麺棒を使って生地をのばしたりし、うどんを完成させた。

 手作りの麺は太さにばらつきがあったが、きつねうどんとして振る舞われた。留学生らは満足そう。スリランカ出身のマドゥマゲ・ルチラ・プラティブハニさん(26)は「うどんの食感がいい」と話し、インドネシアからの留学生、ケリナ・ムリシテプさん(21)は「高松市のうどん店で食べたうどんに比べると、もっと練習が必要そうね」と苦笑いした。

 同教室は国際交流の一環として毎年開催。参加者はすでに600人を突破した。担当の田村啓敏教授によると、「留学生に香川県の食文化を知ってもらいたい。学生には、うどん打ちを習得し、留学先などでうどんを通して交流する力をつけてほしい」という狙いがある。讃岐うどんを世界にPRするとともに、国際交流のツールとしても役立ててもらおうというのだ。

 香川大農学部では平成28年度から、3年生以上の学生を対象に、単位が取得できる「うどん学」を開講。行政機関や製粉会社、うどん製造会社の関係者らが講師を務め、讃岐うどんの製造技術やゆで汁の処理について学び、うどん打ちも行う。今年は約100人が受講したといい、「希望者が多い人気の専門科目。抽選で受講者を決めた」(農学部の事務職員)ほどだ。

 こうした機会を通して、香川県では讃岐うどんの“伝道師”が育っている。

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