2年ぶりにハト放鳥 岸和田だんじり祭

 勇壮さで全国に知られる大阪府岸和田市の「岸和田だんじり祭」(14、15日)で、昨年は台風の影響で中止となった恒例のハトの放鳥が14日、2年ぶりに行われた。ハトが平和の象徴であることから「だんじりの無事故を願う」として、毎年多くの人が心待ちにする行事だが、台風でハトが激減。復活への道のりも困難を極めたが、背景には、病と闘いながら放鳥に臨む飼い主の並々ならぬ熱意があった。

 「元気に飛んでくれて、涙が出そう。本当によかった」

 同市の西野清和さん(71)は14日、約100羽の真っ白なハトが空高く舞い上がった光景を見つめ、満足そうに語った。

 放鳥は平成24年から、祭り1日目に行われるパレードで実施。運営団体からの依頼を受け、ハトを飼育する西野さんが担当していた。

 ところが、昨年は9月上旬に近畿に上陸した台風21号の強風で、ハト小屋が倒壊。約140羽の多くが逃げ、倒れた巣箱の下敷きになって死んだハトもいた。生き残ったハトは以前の半分にも満たず、パレードでの放鳥は断念した。

 それでも西野さんは、放鳥後に戻ってくるようにと、ハトに訓練を重ねた。台風でつがいが減ったため、種バトを買い足して産卵を促進。ハトは少しずつ増えた。

 再起を誓ったが6月、西野さんにがんが見つかった。絶望感の一方で、放鳥復活への思いがよぎった。「楽しみにしてくれる子供たちのためにも、何とか飛ばしたい」。祭りに参加する体力をつけようと、手術後も病院の廊下を毎日数百メートル歩き、9月上旬に退院した。驚異的な回復力に、医師も驚いたという。

 この日、放鳥の復活を見届けた西野さん。がんに対する不安は、まだある。それでも、「だんじりは荒々しい祭りというイメージがあるけれど、ハトを飛ばせば女性や子供にも喜んでもらえる。一人でも多くの人に祭りの魅力が伝わればうれしい」と話した。(江森梓)

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