「生きる姿見せる」高次脳機能障害の男性、子供たち支援

 交通事故が原因で高次脳機能障害となった男性が、周囲の協力を得て、児童養護施設で暮らす子供たちへの支援を行っている。NPO法人「エスペランサ」理事長、岡崎憲司さん(39)。21日には堺市内で子供たちのためのフットサル大会を開く。「世の中には自分にしかできないことがあるんだと伝えたい」。障害を自身の特性と受け止め、生きている姿を見せることが、子供たちの力になると信じている。(小泉一敏)

 平成9年12月10日夕。当時府立高校3年だった岡崎さんは、大阪府寝屋川市内の交差点でミニバイクに乗っていたところ、左から来た車とぶつかった。ヘルメットが脱げた状態で左側頭部をフロントガラスに打ち付け、衝撃で飛ばされた。

 脳挫傷レベル4。命の危機が迫る中、懸命の治療で九死に一生を得た。意識を取り戻したのは約半年後。奇跡的に、手足の運動機能障害は出なかったが、「頭の中に霧がかかるような状況が続いた」という。

 だが、高次脳機能障害と診断されたのは27年のこと。事故から約20年が経過していた。息子から、旅行先の思い出話を振られたときに全く記憶がないことにがくぜんとし、若年性認知症を疑って精密検査を受けたことで、初めて診断名がついたという。

 たしかに自覚症状はあった。思ったことをすぐ口に出してしまう。複数の人との込み入った会話や、乗り換えが複雑な電車移動はできない。仕事が続かず職を転々とし、以前勤務していた運送会社では、赤信号を渡る歩行者を大声で怒鳴りつけてトラブルになってしまったこともあった。

 「障害が原因だったのか」。ほっとした。これまで解けなかった疑問に、やっと答えが出たような感覚だった。

 診断がついたことで、医師やケースワーカーからアドバイスを受けることもできた。そうして使い始めたのが、記憶を記録しておく「メモリーノート」。1日の予定と実際に行った行動を1ページずつ書き込むことで、生活を自己管理する仕組みだ。「今日できることは今日やる」「イライラしない」。自分自身に繰り返し語りかける言葉も並ぶ。

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