約1カ月で完売 「よく通る」人気入試グッズは鉄道部品

 開通25周年を迎えた広島高速鉄道「アストラムライン」。電車に電気を送り込むためのアルミニウム製の“レール”である電車線をキーホルダーにし、自動販売機で売り出したところ、わずか1カ月で完売したという。なぜそこまで人気なのか? なぜ自動販売機で売り出したのか? 同社を直撃取材した。

約1カ月で完売

 同鉄道の電車線は軌道の側面に設置されている。ステンレス製で元の長さは15メートル。それをつなぎ合わせて本通(ほんどおり)(広島市中区)-広域公園前(同市安佐南区)間の18・4キロで電気を送り続けているが、電車の走行により摩耗するため交換が必要になる。そこで、不要になった電車線を厚さ約1センチに“輪切り”し、キーホルダーに加工した。

 同社総務課の中本浩昭さんは「もともとは『刻印キーホルダー』として平成11年から販売していたものです。でも、何をかたどったものなのかさっぱり理解できないとの声が多く、今年から『電車線キーホルダー』に名称変更しました」と苦笑する。

 その際に、「電車線が電気をよく通す」との発想から入試グッズとして販売することを決定。発売にあたっては、学問の神様で知られる菅原道真(すがわらのみちざね)がまつられている尾長天満宮(同市東区)で合格祈願をしたという。

 そして11月15日から、本通駅と県庁前駅(同市中区)に設置している広島名物「もみじ饅頭(まんじゅう)」の自動販売機で1個1200円で販売したところ、約1カ月で限定200個がほぼ完売した。

なぜ自動販売機なのか

 しかし、なぜ売店などではなく自動販売機での販売なのか-。

 「開業当初からアストラムラインには駅構内に駅売店がありません」と中本さんは説明する。

 同鉄道は、広島で開かれたアジア大会の会場となった広島広域公園陸上競技場(現・エディオンスタジアム広島)へのアクセス路線として、平成6年8月に開通した。現在は広島市中心部と住宅地を結ぶ貴重な路線として1日約6万5千人(平成30年度実績)を運んでいる。

 本通駅と県庁前駅間(約300メートル)は地下街「紙屋町シャレオ」でつながっていてコンビニエンスストアなどの店舗が並んでいるが、確かに駅構内には売店は見つからない。

 中本さんは駅売店がないことについて「開業当時の状況は詳しくは知りませんが、人手不足も一因だったようです」と話す。

 売店がないことで、グッズ類の販売ルートが制限されるという弊害もあった。同社ではノートやクリアファイルといったグッズも取り扱っているが、販売しているのは同社本社近くにある「広島市交通科学館」(同市安佐南区)内の売店程度という。

 そうしたこともあってか、自販機を充実させている。ドリンクはもちろん、カプセルトイが楽しめる自販機もあり、駅名キーホルダーやマスキングテープなどのグッズ類も陳列。開通25周年を記念して今年7~10月に開催された謎解きゲーム「アス謎」も、新聞の自販機で謎解きキットを販売し、千部近くが売れた。

 全国的にも珍しい駅売店がない鉄道会社。中本さんは「自販機なら人手がかからずにいろいろなものが販売できるし、消費者も気軽に買えるのも魅力です」と話していた。

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