オウム捜索では先頭に 第96代警視総監に就任した斉藤実氏

 日本で初の地方開催となった九州・沖縄サミット、サッカーワールドカップ日韓大会などの大規模警備を担当し、警察内で「警備のエキスパート」とも称される。自らの土台を作る上で「貴重な財産」と位置づけるのは、平成5年9月から2年間務めた警視庁第7機動隊長の経験だ。隊員と寝食を共にし、部隊指揮を身をもって学んだ。

 同庁OBの間で語り草になっているのは、7年5月、静岡県富士宮市にあったオウム真理教の総本部への家宅捜索。毒ガス検知のための小鳥を用意するなど緊迫した状況の中、隊長として先頭に立った。「指揮官が前に立つのは自然の所作」と笑顔で話すが、その姿は庁内の信頼を集めた。

 現場感覚があるからこその苦悩もある。東日本大震災で東京電力福島第1原発事故が起きた際は警察庁警備課長で、警視庁に高圧放水車と隊員の派遣を頼む立場だった。危険を伴う任務だけに逡巡したというが、警視庁は二つ返事で引き受けてくれた。「あの勇気に感謝している。思い出すたびに涙が出そうになる」。

 数カ月後には被災地の行方不明者の捜索現場を回った。警察部隊を鼓舞する言葉を用意していたが、不要だった。「不明者の家族がいる。われわれは帰れません」。異口同音に答える警察官たちの姿に日本警察の強さ、優しさを見たという。

 警視庁ではこれまで4回、計約6年半勤務し、昨年は副総監として即位の礼などの対応に当たった。17日の就任記者会見では東京五輪・パラリンピックの安全な実施に向けて「警視庁の総力をあげて臨まなければ達成できないミッションだが、われわれは準備を重ねてきた。必要な態勢は既に整っている」と力強く語った。(高久清史)

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