阪神大震災25年 「犠牲から学べば命守れる」妹犠牲の松本幸子さん

 阪神大震災の発生から25年を迎えた17日、神戸市中央区で行われた兵庫県主催の追悼式典に、妹の久村文枝さん=当時(37)=を震災で亡くした同県芦屋市の松本幸子さん(65)が遺族代表として登壇した。現在、震災の語り部として活動する松本さんは「たくさんの犠牲から学び、備えれば、命を守ることは必ずできる」と訴えた。

 芦屋市職員だった久村さんは、1人暮らしをしていた神戸市東灘区のアパートの下敷きになって亡くなった。「おふみ(久村さんの愛称)が亡くなった」。同県西宮市に当時住んでいた松本さんは、公衆電話からかけてきた叔母に妹の死を知らされた。「あまりに信じられず、泣く余裕すらなかった」と振り返る。

 震災後、不況で夫が会社を辞めざるを得ず、自宅も転居を余儀なくされた。生活はつらいことばかりで、妹の死を思い出すことも苦痛だった。

 転機は平成26年11月、福島県にある東日本大震災の仮設住宅へ炊き出しのボランティアで訪れたことだ。住居や生業を失った漁師の話を聞き、「自分の震災の記憶を話すことも何か意味があるのではないか」と考えるように。翌27年1月から神戸市の防災学習施設「人と防災未来センター」で語り部活動を始めた。

 大阪府内の小学校で経験を語った際には、子供たちから「どうやって助かったの?」「遺体はどう運ばれるの?」などと多くの質問を投げかけられた。関心の高さに驚くとともに「語ることはつらい。それでも当時のことを話すことは生かされている者の責任だ」と感じるようになった。

 語り部を始めて5年後となる今年に引き受けた遺族代表。左手には「妹を思い出す」というパールのブレスレットを着けて臨んだ。震災前月にネックレスを加工して作った2つのブレスレットのうちの1つ。もう1つは妹の棺に「最後のプレゼント」として入れた。

 この日の追悼式典で、震災当日の様子や南海トラフ巨大地震に備える必要性などを約3分間にわたって語った松本さん。「妹と私たち家族の無念の思いを話せたと思う。震災が生んだ苦しみを教訓にできたかどうかを考えるきっかけになれば」と力を込めた。(尾崎豪一)

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