PISA型読解力「情報を見極める学びを」 川村学園女子大・田中孝一教授

 2018年に行われた経済協力開発機構(OECD)の国際学習到達度調査(PISA=ピザ)における「読解力低下」が波紋を広げている。元高校教諭で文部科学省初等中等教育局主任視学官などを歴任し、今回の調査結果の分析も手掛けた川村学園女子大の田中孝一教授は、読解力を伸ばすには「情報を見極める学び」が必要だと指摘する。

 「18年調査で問われたのは、パソコンなどの機器を介して、必要な情報を探し出し、その信頼性を吟味しながら読む力。この意味で日本の15歳の『読解力』が低かったのは事実」。田中教授は今回の結果について、こう見る。

 PISA調査では、読解力(ReadingLiteracy)を「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発展させ、社会に参加するために、テキストを理解し、利用し、評価し、熟考し、これに取り組むこと」と定義。田中教授は「PISA型読解力は、物語の登場人物の心情を読み取る、といった日本の国語教育で伝統的に育まれてきた『読解力』とは様相が異なり、これからの超スマート社会で生きるための基礎になる力。どちらも必要だが、今回は一歩進んで、インターネットを通じて得る情報の特性を踏まえ、文章を比較検討して判断することが必要だった」と分析する。

 今回の調査では、ある商品について(1)販売元企業のサイト記事(2)同商品についての雑誌のオンライン記事-の2つを提示。日本の生徒は、複数のサイトから必要な情報を探し出す、双方の記事の情報の質や信憑性を評価し、対処の仕方を文章にする、といった問題で正答率が低かった。

 ネット上の情報を見極める力は、18歳への成人年齢の引き下げを2年後に控え、ますます欠かせない力になる。だが、田中教授は「学校では現状、パソコンを使う授業は不十分。『どの情報が本物か』といったことが学べる授業はまだ少ない」と指摘。また「読解力=国語学習」ととらえがちだが、「情報を見極めるための学びは本来、すべての教科にまたがるが、国語だけの問題に矮小化されがち。学校教育全体として、PISA型読解力を伸ばす授業の工夫が必要だ」。ICT環境の整備や教員への研修の充実など、国や行政の役割も大きいという。

 読解力を伸ばすためにはどうすればよいだろうか。田中教授は多面的な視点を持つことの大切さを説く。「ネットはもちろん、マスメディアを含めどんな情報も、すぐにうのみにせず、考えてみる、という姿勢が重要」。そのうえで「大量の情報を取捨選択できなければならない現代こそ、幅広い話題を一覧できる新聞はとても有効。学校や家庭では、この機会にPISA型読解力について話題にし、子供たちがなるべく多様な情報に触れられる機会を増やしてほしい」と話している。

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