野球理論から人生まで…「野村ノート」編集者が見た衝撃のメモ

 野村克也さんが平成17年に出版した「野村ノート」は、野球ファンからサラリーマンまで幅広い読者層に支持され、35万部のベストセラーとなって文庫化もされた。小学館の編集者として野村さんに執筆依頼のラブコールを送り続けた藤田欣司さん(56)は「野球を理論で語れる人は他にいない。野球界のため、絶対に書籍化したかった」と当時を振り返った。

■選手が全文書き取り

 出版のきっかけは、ヤクルトで「ブンブン丸」の愛称で知られた池山隆寛さんの著書を出版する際に目にしたひとつのメモ。ヤクルトの監督時代、野村さんはキャンプ中のミーティングでホワイトボードを使って講義し、選手に全文書き取りを命じていた。メモは、当時池山さんが記したものだった。藤田さんは「人生のあり方から野球における技術指導まで事細かに伝えようとしていた野村さんの言葉に衝撃を受けた」と話す。

 藤田さんは野球界のために野村ノートを残したいと、何度も野村さんの元へ足を運んだが固辞され続けた。「阪神監督を退任して、もうプロ野球の監督要請はないと考え、最後に受けてくれたのだろう」

■「本に書きすぎた」

 出版後の18年に楽天の監督に就任した野村さんは、藤田さんに「もう監督はないと思って、本に書きすぎたな」と、手の内を明かしたことをぼやいたという。編集者として、大学ノートや手帳に残された数多くの「野村語録」を目にした藤田さん。「あらゆることをメモし、思考を突き詰めて理論に落とし込んでいた知将だった」と悼んだ。

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