「日本語の壁」シニアがサポート 在留外国人に指南役

 外国人労働者の増加で日本語教育の需要が拡大するなか、海外経験などを持つ中高年がボランティアで講師を務める日本語教室が支持を集めている。文化庁が平成30年に行った調査によると、外国人らに日本語を教える「日本語教師」の55%をボランティアが担っており、今後さらに需要が増えることから、シニア人材の活躍への期待はますます高まりそうだ。

 「こんにちは! 今日もよろしくお願いします」

 土曜の昼下がり、東京都港区のJR田町駅前のビルにある日本語教室「しば日本語クラブ」に、外国人受講者が続々とやってきた。

 この教室は、シニア世代の生きがいづくりや社会貢献活動のサポートを目的に平成13年に設立されたNPO法人「新現役ネット」が29年5月に開設。海外経験などを持つ会員の有志が講師を務め、31年1月からの1年間で385人の在留外国人が受講した。

 レッスンは毎月第2、第4水曜の午後6時半と第2、第4土曜の午後1時半から行われている。働きながらでも通いやすく、参加費は1回500円という低価格だ。

 この日参加したのは、中国、韓国、台湾、スペイン、トルコなど9の国と地域から来た13人。グループに分かれ、7人の日本人講師がそれぞれのレベルに合わせ、世間話も交えながらリラックスしたムードで授業を行っていた。

 「日本語は、あいまいな表現がとても多い。日本人の習慣や文化も合わせて丁寧に教える必要がある」と語るのは、定年後にこの教室で講師のボランティアを始めた横川幸基さん(80)。商社員時代には韓国で駐在員を務めたほか、欧米、東南アジアなど20以上の国を訪問。海外で仕事をすることの大変さを身をもって経験してきたからこそ、伝えられることも多いという。

 日本で就職するため3カ月前にインドから来日したプログラマー、ハラジヤニ・オミさん(24)のノートには、日本語がぎっしりと書かれていた。

 「これまではずっと教本や日本のアニメを見て独学で勉強をしていた。この教室では、先生や他の受講生と会話できるのがうれしい」と目を輝かせた。

 駐日スペイン大使館で働くスペイン人のアレックス・ロドリゲスさん(25)は「自分の気持ちを日本語で表すのは、まだ難しい。でも、これからも日本で働きたいので、頑張って勉強したい」と言葉に力をこめた。

 アレックスさんに指導していた会社員の宮本賢幸さん(58)は、日本語教師の意義をこう語る。

 「異国から来て、難しい日本語を学ぶ意欲ある外国人は、日本の宝でもある。彼らをサポートする形で社会貢献していきたい」

(本江希望)

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