入学共通テスト、問題作成委員らが例題集を出版 「疑念持たれる」と指摘受け複数辞任

 来年1月実施の大学入学共通テストに絡み、国語の問題を作成する分科会の複数の委員が昨年8月、導入予定だった記述式に関する例題集を民間の出版社から発行し、その後、利益相反などの疑念を指摘されて委員を辞任していたことが16日、関係者への取材で分かった。辞任した委員には国語の作問責任者も含まれ、共通テストへの影響が懸念される。

 問題となったのは、東京の大手教科書会社から昨年8月発行された共通テスト・国語記述式対策の市販本(定価2200円)で、教師や受験生向けに10の問題例と解答、解説、正答条件を掲載。記述式問題をめぐっては、正答条件が複雑なため自己採点が難しいとの批判があったが、そうした不備を補うような内容だ。

 関係者によると、この例題集の執筆陣に、共通テストを運営する大学入試センターが設置した「国語問題作成分科会」の分科会長と委員数人が含まれていた。分科会長は、来年の共通テストの国語問題作成における統括役だったという。

 センターによると、共通テストの作問担当者は、大学入試の作問経験がある大学教授や准教授らから選ばれ、作問に関与した事実は当該試験の実施年度内は口外しないこと、職務上知り得た秘密は生涯、守秘することが規則に定められる。

 例題集では、分科会長らは自分たちが作問に関わっていることには触れていないが、現役の作問担当者が民間の出版社を通じて関連本を出すこと自体が「疑念を持たれる行為」と分科会の中などで問題視され、辞任を申し出たという。

 共通テストは公正であることが不可欠で、関係者が立場を利用して金銭的な報酬を得るなど利益を図るような利益相反行為は厳禁とされている。昨年11月には共通テストの試行調査で記述式問題の採点関連業務を受託した民間業者が、PR資料に受託の事実を記載していたことが発覚。国会で問題となった経緯もある。

 辞任した分科会長は産経新聞の取材に「問題作成方針に関わる話なのでセンターに聞いてほしい」と回答した。一方、センターでは事実関係も含め、「問題作成に関わる内容なので答えられない」としている。

大学入学共通テスト 大学入試センター試験の後継として来年1月に初回が行われる新テスト。英語民間検定試験と記述式問題の導入が柱だったが、民間試験は昨年11月に経済格差や地域格差が広がるなどの批判を受けて見送りに。国語と数学に3問ずつ導入される予定だった記述式問題も、採点ミスの発生や自己採点が難しいために受験生が出願先の大学を決められないなどの懸念から同12月に白紙撤回となった。特に国語の採点が難しいとされていた。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ